なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

バンコマイシン内服+バンコマイシン点滴静注

2020年10月21日 | Weblog

 9月末に、精神科病院にアルツハイマー型認知症で通院している79歳が、1週間前から食事摂取が低下して入院した。内科の若い先生が診ていた。

 点滴と嚥下訓練をしていたが、入院1週間後から下痢・発熱が続き、便のCD検査で抗原陽性・トキシン陽性となった。クロストリディオイデス・ディフィシル感染症として、フラジール投与を開始した。

 内頚静脈からCVカテーテルを挿入して(外科病棟に入院していて、外科の先生が指導してくれた)、高カロリー輸液にしていた。発熱の検索として、血液培養2セット(カテーテルからと、末梢静脈から)を提出していたが、結果は陰性だった。

 入院してから抗菌薬の投与はしていない。入院前に抗菌薬が使用されたかどうかは不明だった。内服できないので、経鼻胃管を挿入して注入するしかなかった。

 フラジールが効いていないので、バンコマイシン内服に変更したいと相談された。変更に依存はない。投与後のバンコマイシン血中濃度測定は、と訊かれたが、バンコマイシン内服は腸管から吸収されないので、血中濃度測定の必要はない。勘違い(混乱?)したようだ。

 下痢・発熱が治まってきて、数日間経過は良かった。ところが、また発熱が始まり、CVカテーテル刺入部に発赤があった。血液培養2セットを提出して、カテーテル先端培養も提出していた。

 カテーテル関連血流感染だと、起炎菌はコアグラーゼ陰性ブドウ球菌それもメチシリン耐性(つまりMRCNS)が想定されるので、バンコマイシン点滴静注を開始した。翌日、グラム陽性球菌が検出された(菌名はまだ)。

 結果的に、バンコマイシン内服+バンコマイシン点滴静注になった。ちょっと珍しいが、培養結果が出れば、結果によってバンコマイシン点滴静注は他の抗菌薬に変更になるかもしれない(MSSAの場合のみになるが)。

 

 別のCVカテーテル挿入の患者さんも発熱して、血液培養からグラム陽性球菌が出たので、若い先生はがっかりしていた。最近CVカテーテル挿入を頑張っていて、当方の患者さんで挿入が必要になった時も、やらせて下さい、と言ってくれた。感染管理に注意しても、感染を来す時はあるので、仕方がない。

 

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