なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

完全房室ブロック

2020年10月31日 | Weblog

 木曜日に地域の基幹病院循環器内科から87歳女性が、リハビリ目的で転院してきた。

 

 昨年6月に内科医院で行った心電図で不整脈を認めて、ホルター心電図では房室ブロックと140/分の頻拍発作があった。精査依頼で当院の循環器科に紹介された。

 ふだんの心電図では正常洞調律で完全左脚ブロックを認めたが、こちらで行ったホルター心電図では有意な所見はなく、また心エコーで大動脈狭窄を認めたが、経過観察でフォローとなった。

 何度か循環器科に受診したが、今年の春にあとは通院している内科医院で診てもらうことを希望されて、いったん終診となった。

 

 今月初めの日曜日の夜に、10日前からのめまい・倦怠感を訴えて、当院の救急外来を受診した。当直は大学病院からバイトで来ている外科医だった(夜間は全科当直になる)。

 心電図で2:1ブロックを認めて、血液検査では貧血(Hb7g/dl台)もあった。当院の夜間・休日は対応力がないため、当直医は基幹病院へ紹介した。

 先方の循環器内科に入院してすぐから、完全房室ブロックとTorsades de pointes(TdP)の発作を繰り返したそうだ。こわいこわい。心臓ペースメーカー植え込み術が行われた(DDD)。

 貧血に関しては、消化器内科できっちりと上部・下部消化管内視鏡検査・腹部エコー・腹部CTが行われたが、消化管出血を来す病変は指摘できなかった。貧血は鉄剤で改善している。小腸病変が隠れているのかもしれない。

 

 年齢を考慮すると、家族から施設入所を希望されるかと思ったが、患者さんは元気でリハビリでしだいに動きが良くなり始めていた。2~4週間のリハビリ継続で自宅退院できそうだ。

 循環器科への転院でいいはずだが、おとなの事情で内科に回ってくる。当院循環器科のトップの先生と先方の病院とはあまり関係がない。当院の循環器科のその下の先生は、出身大学が同じである先方のトップの先生とは仲良しだ。心不全がやっと軽快したような患者さんは、さすがに増悪の可能性があるので、その先生に頼んで循環器科扱いにしてもらうが、今回はペースメーカーが入ったので安定しているから内科でも大丈夫?。

 当方としては、2:1ブロックの房室ブロックの心電図を見られてよかった(だけ?)。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする