今年の3月に患者さんの希望で近医に紹介した87歳女性が、低ナトリウム血症・低カリウム血症で先々週の週末に内科に入院していた。
家族の話では、3日前から受け答えがふだんより鈍く、食事摂取量が低下していた。血清ナトリウム109mEq/L、血清カリウム2.2mEq/Lという極端な低下だった。開業医の先生から利尿薬(フロセミド)が処方されていた。
当院通院時に利尿薬の投与はなかった。確かに両下腿から足にかけて軽度の浮腫はあるが、日中ずっと椅子に座っていて両足を下げているためで心不全ではない(と思う)。この年齢にしてはかなり身長もあり、体格のいい方だった(連れてくる娘さんも同じ体形をしている)。
別の内科の先生が外来に出ている時で、そのまま主治医として治療を開始していた。まず利尿薬を中止して、点滴を行っていたが、乳酸リンゲル液500ml+塩化カリウム製剤20mEqと3号輸液500mlで、高張食塩水ではないのは、主に利尿薬の影響と判断したからだろう(いちおう会話可能)。
血清ナトリウムは120(3日目)、126(6日目)、138(12日目)と順調に改善していた。血清カリウムは一時3.7まで改善したが、その後また2.7と低下していた。入院4日目からは食事摂取できるようになって完食している。
利尿薬(ループ、サイアザイド)で低ナトリウム血症はよく見るが、血清ナトリウムで120台が多く、ここまで低下したのは初めて見た。
心気症傾向というか、心気症(今どきだと身体症状症)そのものといった患者さんで、むくみを気にしての利尿薬処方希望だったかと思われる。