なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肝膿瘍?

2020年01月08日 | Weblog

 1月4日に90歳男性が2~3日前からの悪寒で救急外来を受診した。循環器科の若い先生が日直だった。

 受診時の体温は37.2℃だった(入院後に39℃)。インフルエンザ迅速試験は陰性で、胸部X線・CTで明らかな肺炎像はなかった。白血球8400(ふだんは5000~6000)・CRP18.4と炎症反応の上昇がある。

 血清クレアチニンがもともと2mg/dl前後と上昇していて、その日は腎前性の要素が加わったか、2.69になっていた。

 尿検査で尿路感染らしさはなかったが、CTで腎臓の辺縁の毛羽立ちが若干あるのではということで、尿路感染症でよいかと記載していた。その日内科当番だった内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が担当になった。

 入院後は抗菌薬投与で解熱して経過は順調だった。外来で血液培養2セットと尿培養を提出していて、尿培養は陰性で、血液培養2セットからKlebsiella pneumoniaeが検出された。

 昨日のAST会議で血液培養陽性者として報告された。尿路感染症ではないようで、他の感染巣が疑われる。単純CTだが、肝右葉にエアがあり、その近傍に低程度域があるようだ。放射線科医にも診てもらったが、ありそうだという。担当医に腹部エコー検査を勧めた。

 腹部エコーではそこに明らかな低エコー腫瘤様病変を認めた。胆管系の拡張はなかったが、胆嚢壁の肥厚はある(胆石はなかった)。肝膿瘍が疑われる。

 尿路感染症としてセフトリアキソンで治療していた。セフトリアキソンだと胆泥形成の副作用がある点が引っかかる。また肝胆道系感染・腹腔内感染だと、培養での証明は難しいが、嫌気性菌カバーになる。緑膿菌カバーは不要と判断すればユナシン(スルバシリン、ABPC/SBT)で、必要と判断すればゾシン(PIPC/TAZ)になるか。

 血液培養2セットを提出していたのはよかった。感染巣がはっきりしない時は、特定の病名をつけないで、不明熱扱い(現時点で感染巣不明)でいいと思う。

 

 ふだんは糖尿病外来(大学病院糖尿病代謝科からバイト)に通院している。ライゾデク10単位に内服は、トラゼンタとグルベス(グルファスト+ベイスン)だった。90歳だからインスリンをしているだけでも大したものだが、実際は家族がしているのだろう。HbA1c9.5%と年齢を考慮しても高いが、どう変えるかというと難しい。

 入院後は血糖3検でヒューマリンR皮下注の補正をしていた。血糖高値時の300mg/dl以上で6単位・350mg/dl以上で8単位は少し多いかもしれない(実際次回血糖が80mg/dlになっている)。無難なのは、200mg/dl以上で2単位、250mg/dl以上で3単位、300mg/dl以上で4単位くらいか。

 

 

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