なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ピロリ除菌

2020年01月26日 | Weblog

 先週、病院の人間ドックで上部消化管内視鏡検査を受けた。胃粘膜はびまん性発赤と萎縮があり、ピロリ胃炎の所見だった。過形成性ポリープも散在していた。所見がある時は追加検査(ピロリ菌や胃癌疑いの時の生検)にしていたが、内視鏡医(大学病院からバイト)はしなかった。迅速ウレアーゼ試験をしてもらってよかったのだが。

 金曜日に尿素呼気試験を受けて、ピロリ陽性と出た。年齢的には統計上高確率で陽性であり、予想通りになる。ボノサップセット400(タケキャブ20mg・アモキシシリン750mg・クラリスロマイシン200mgを朝夕内服)で除菌治療をすることにした。

 

 「これでわかるピロリ除菌療法と保険適応 改訂第5版」高橋信一著(南江堂)を読み直してみた。

 ピロリ菌除菌療法の適応疾患

 2000年に胃潰瘍十二指腸潰瘍、2010年に胃MALTリンパ腫自己免疫性血小板減少性紫斑病早期胃癌に対する内視鏡治療後胃、2013年にヘリコバクター・ピロリ感染胃炎の保険適応が認められた。

 ヘリコバクター・ピロリ菌の感染診断法

 胃内視鏡検査による胃生検材料を用いる方法として、1)迅速ウレアーゼ試験、2)組織鏡検法、3)培養法。胃内視鏡検査によらない方法として、4)血中・尿中のヘリコバクター・ピロリ抗体測定、5)尿素呼気試験、6)便中ヘリコバクター・ピロリ抗原測定

 通常行うのは、内視鏡検査時の迅速ウレアーゼ試験、内視鏡検査をしない時の尿素呼気試験

 診断精度を上げるために、1回の検査が陰性の場合は異なる方法でさらにもう1回検査を行うことができる。2010年から2種類の検査を同時に実施可能となった。

 除菌療法終了後の感染診断法(除菌判定法)

 除菌薬内服終了後4週間以降に行う(ガイドライン)が、実際は8週間以降に行う(除菌終了後60日以上で偽陰性なし。できるだけ遅く行う。)。4)・5)・6)は2つを同時算定可。

 除菌成功例ではさらに診断精度を上げるため、異なる方法でもう1回除菌判定を施行できる。最初の判定より6か月後くらいに行う。

 生検材料を用いる方法はサンプリングエラーの可能性があり、尿素呼気試験または便中ヘリコクター・ピロリ抗原測定を用いる。

 ヘリコバクター・ピロリ菌に対して静菌作用のある薬剤(PPIや抗菌薬)を内服していた場合は、判定偽陰性を避けるために、薬剤内服中止後、少なくとも2週間以上をあけて診断を行う。

 除菌法

 1次除菌

 PPIのランソプラゾール30mg、オメプラゾール20mg、ラベプラゾール10mg、エソメプラゾール20mg、またはボノプラザン20mgに、アモキシシリン750mg、クラリスロマイシン200mgの3剤を1日2回服薬して1週間続ける。(ボノプラザンはP-CAB)

 通常な一番効果的なボノプラザン(タケキャブ)を使用する。ボノサップパック400または800はボノプラザン20mg1錠、アモリンカプセル250mg3錠、クラリス錠200mg1錠(400)か2錠(800)の3剤を組み合わせ、1日1シートを朝夕と1列ずつ内服して1週間続ける。

 2次除菌

 1次除菌が失敗した場合は、経験的に1次除菌後3~6か月後に2次除菌を行う。1次除菌率の低下はクラリスロマイシン耐性菌の増加が原因。2次除菌はPPI+AMPC+MNZ(メトロニダゾール)で行う。メトロニダゾール(フラジール)250mg錠を朝夕で使用する。(適応は2次除菌に限られている)

 ボノピオンパックは、ボノプラザン20mgに、アモキシシリン750mg、メトロニダゾール250mgの3剤を組み合わせ、1日1シートを朝夕と1列ずつ内服して1週間続ける。

 3次除菌

 2次除菌が失敗した場合は、再度内視鏡検を行い、胃生検材料によりヘリコバクター・ピロリ菌の培養と薬剤感受性試験を行う。薬剤感受性をみて感受性を示す適当な薬剤を組み合わせて3次除菌を行う。(保険適応外)

これでわかるピロリ除菌療法と保険適用(改訂第5版)

 

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