72歳男性がめまい・ふらつきで内科新患を受診した。新患担当の内科の若い先生(大学病院からバイト)から、脳梗塞の患者さんがいます、と連絡が来た(内科再来を診ていたので、隣のブースにいたけど)。
年始から患者さんは隣県の温泉に出かけていた。1月2日に温泉旅館でトイレに行こうとして、めまい・ふらつきを感じた。その後、川下りで有名な観光地に言って、ふらついて歩行しにくくなって、そちらの救急病院を受診した。
患者さんと奥さんの話では、頭部CTでは異常を認めなかったそうだ。大腿骨頸部骨折の既往があり、足に金属が入っている。頭部MRIを撮影していいかわからないので撮影はしないとされた。地元に戻って症状が検査を受ける様に、と言われて帰宅していた。
今日は歩行はできるが、ふらつきは若干あるそうだ。明らかな半身麻痺はないが、左半身の感覚鈍麻がある。健診で高血圧と高脂血症を指摘されていたが、受診はしていない。
大腿骨の手術は当院で行っていて、チタンなので、頭部MRIの実施には問題なかった。拡散強調画像で、右視床から内包後脚にラクナ梗塞を認めた。心電図は洞調律で心房細動はなかった。
神経内科医に診察と入院治療を依頼して、入院となった。右後頭葉にも小さなラクナ梗塞があり、A to A梗塞を否定するため、頸動脈の検査が予定された。
患者さんにとってはとんだ年明けになったが、比較的症状が軽度なので、その点はまだいいか。これを機会に高血圧症・高脂血症の治療が開始されることになる。
川下りの観光地に随分前に行ったことがあるが、この寒い時期に行くのはどうなんだろうか。