なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性副腎不全

2020年01月01日 | Weblog

 昨日の日直では5名の内科入院があった。前日の別の内科の先生の時は、受診数が相当だったが、内科入院は1名だったので3日分くらいの入院になる。

 脳梗塞(左半身不全麻痺)の101歳女性は、それよりもうっ血性心不全の悪化の方がひどかった。前回は洞不全症候群で循環器科に入院して、心臓ペースメーカー植え込み術を受けていた。年明けまで持ちこたえて、心不全が改善しない時は循環器科に引き継ぎたい。

 肺炎の76歳男性は耳鼻咽喉科でジェニナック内服の処方を受けていて軽快していない。普通にセフトリアキソンで開始したが、どうなるか。

 誤嚥性肺炎の89歳男性は12月初めに別の内科医が担当していた。胃瘻からの経管栄養を受けて、施設に戻ったが、また両側下肺野背側の肺炎になっている。

 転倒したとして外科系に救急搬入された88歳男性は、骨折はなかった。39℃の発熱があり、軽度だが炎症反応が上昇していて、内科で入院になった。肺炎、尿路感染は否定的で、原因は不明だった。血液培養2セットと尿培養を提出して、セフトリアキソンで開始するという定番の対応だが、これもどうなるか。

 

 一番困ったのは後天性血友病でプレドニン20mg/日を内服している74歳女性だった。隣町の施設に入所していて、そちらの当番医から紹介されてきた。症状は発熱と喘鳴で、インフルエンザA型陽性で肺炎もあった。以前も肺炎による気管支喘息の悪化で入院していて、また感染による増悪をきたしていた。

 いかにもステロイドという外見で皮膚は薄く、四肢が浮腫状だった。ステロイド糖尿病があるが(ふだんの薬はDPP4阻害薬のみ)、搬入時も血糖が50mg/dlと低血糖を呈していた。血圧も80台と低血圧で、その後血圧が測定できなくなった。

 橈骨動脈は触れるので、血圧80mmHgはあるはずだが、血圧計では測定できない。ソル・コーテフ100mgを点滴静注すると、血圧が1oo弱に上がってきた。急性副腎不全として、ソル・コーテフ100mgを3回使用することにした。

 肺炎自体は致死的なほどではない。ただ、下腿の褥瘡がひどくなっていて、陰股部全体が赤くただれていた(年明けに皮膚科に来る予定だったそうだ)。壊死性筋膜炎疑いで大学病院に搬送した既往もある(皮下出血のみとされたが、あれは筋膜炎のはずだ。実際デブリドマン+植皮がなされた。)。

 救急外来の看護師さんが前腕の細い血管から点滴を入れたが、到底これで数日持つとはいえない。病棟に上がってから、午後8時に右大腿静脈からCVカテーテルを挿入した。

 何度も入院歴があり、その都度夫が来ていた。夫の方も、胆管癌で大学病院、その後地域の基幹病院で治療をう行けていた。付いてきた親族の話では、9月に亡くなったそうだ。

 

 消化器科医が心身ともに疲れて倒れた時は、1日に5名の入院患者さんがあったのが、直接の引き金になっていた。内科だと1日で5~6名入院することが時々あるので、重症以外はさっと必要な指示を出して、少しでも疲れないようにしなければならない。

 内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)の時に入院が続くとたぶんパニックになるので、当方の時でよかった。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする