なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

感染性大動脈瘤?

2020年01月14日 | Weblog

 三連休の最初の土日は適々斎塾に出かけて、月曜は休めたので買い物をしていた(3日間で病院からの電話は2回だけだった)。徳田先生お勧めの「こんなときオスラー 平静の心をもとめて」(医学書院)を、今さらこの年でと思ったが購入した。

 

 今日病院に着くと、内科の若い先生から金曜日の夜間に入院した患者さんのことで相談された。「縦隔膿瘍」ということだった。

 患者さんは70歳男性で年末から左肩甲部の痛みがあった(本人の解釈では米袋を持った時からと=突発?)。年明けに整形外科クリニックを受診してX線検査(たぶん骨・関節)を受けて異常なしだった。その次に内科クリニックを受診して心電図検査で異常なしとされた。

 症状が続いて、10日金曜日夜間に当院の救急外来を受診した。当直医は眼科医だった。胸部X線で大動脈弓部に陰影を認めて、胸腹部造影CT(当初単純撮影をして、所見をみて造影も追加)を行った。膿胸かというと記載があり、その後に縦隔膿瘍と直している。

 38℃の高熱があったが、患者さんは発熱があるとは思っていなかったそうで、いつから発熱があったか正確には不明だ(クリニック受診時に発熱があれば対応はまた違うはず)。血液検査では白血球10500・CRP18.4と炎症反応上昇がある。D-ダイマーは2.8と微増だった。(HbA1c7.0%の糖尿病もあるが、本人は糖尿病とは思っていなかったようだ。)

 外来で血液培養2セットを提出していて、昨日の段階で2セットからグラム陽性球菌が出ていた。検査結果を確認すると、今朝になって2セットともMRSAと判明した。

 画像を確認すると、大動脈そのものに見える。大動脈瘤としていいようだ。ということは感染性大動脈瘤か。

 ちょうど専門病院の呼吸器内科の先生(外来応援のバイト)が来ていたので、一緒に見てもらった。大動脈だったら循環器内科に連絡して、という。

 主治医の若い先生に電話連絡してもらうと、いつものように快く受け入れてもらえた。若い先生は焦っていたらしく、間違い電話を2回していた(すぐ受けれてもらって調子抜けの感じだった)。ありがたく救急搬送となった。

 受診時に大学病院に連絡したが、受け入れてもらえず、そのまま当院入院で経過をみていたのだった。培養提出・抗菌薬投与・血圧の調整(ニカルジピンの点滴静注)なので、治療としては間違っていない。抗菌薬はスルバシリン(ABPC/SBT)で結果的に外れたが、これはやむを得ない。 

 感染性大動脈瘤で間違いなければ、よく破裂しなかったものだ。緊急手術にはならないので、抗菌薬投与・血圧コントロールで経過をみると思うが、それからどうするのだろうか。

 

 

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