なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

いわゆる肺胞出血ではない

2020年01月10日 | Weblog

 水曜日の夕方に内科クリニックから91歳女性と紹介したいという依頼が入った。時間外になる時だったので、地域医療連携室ではFAXされてきた診療情報提供書をもって、その日当直だった内科の若い先生に相談した。徐脈性心房細動で心臓ペースメーカー植え込み術後だった。以前の当院循環器科に心不全の増悪で入院したことがある。

 FAXされてきた診療情報提供書をみると、心不全の増悪と思われた。クリニックの先生は心不全の泡沫状の血痰ではなく、血液そのものの喀痰なので、心不全の悪化ではないのではと記載していた。両側肺にびまん性陰影とあったが、画像を見ないとわからない。

 内科の若い先生が循環器科医にも連絡したが、検査して一晩治療しておいてということだった(患者さんはまだ来ていない)。

 搬入後の胸部X線・CTを見ると、両側胸水と肺水腫のようだが、水腫の広がりがまだらになっているところが気になった。

 症状からは肺胞出血も考えたが、血液検査の結果、ワーファリン1mg/日内服でPT4%・PT-INR13.82と出た。以前から血清クレアチニンが3~4mg/dl台でその日は5.33mg/dlになっていた。ワーファリンの効き過ぎによる出血傾向というより、出血そのものだった。

 BNPはふだん100~200くらいだが、671に上昇していた。診断は心不全の増悪+ワーファリンの効き過ぎによる肺胞出血だった。

 ラシックス注・ハンプ点滴静注で利尿がついて、搬入時に酸素5L/分でも酸素飽和度が90%なかったのが改善した。ケイツー使用で翌木曜日はPT14・PT-INR4.50まで軽快はしていた。翌日からは循環器科の扱いとなった。

 木曜日に呼吸器外来に来ている先生(大学病院からバイト)に画像を見てもらったが、「画像だけで判断するのは難しいですが、これは心不全ですね。collagen-vascularの肺胞出血ではありません。」だった。

 当直で入院になったのはこの患者さんだけで、準夜帯で4名が受診して、幸い深夜帯での受診はなかった。若い先生は「この患者さんだけでいっぱいいっぱいでした」、と言っていた。お疲れ様でした。

 

 

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