月曜日に95歳男性が左下肢の腫脹・疼痛で救急搬入された。救急当番だった内科の若い先生が対応した。内科クリニックに高血圧症・糖尿病・慢性心不全で通院しているが、実際は家族が1か月に1回薬をとりに行っていたそうだ。
1~2週間前から左足(甲部)が痛くなって、下腿から大腿部への痛みが上行していた。NSAIDを処方されていたが、痛みがひどくなり、その日家族がクリニックに相談に行った。すぐに救急要請して当院に行くようにと言われた。
左下肢は大腿部から足まで熱感・発赤・腫脹・疼痛があり、少し水疱もあった。下腿から足までは全周性に赤黒色で、大腿部はそれに比べると赤からちょっとピンクっぽい色で発赤は散在している。
蜂窩織炎から筋膜炎になっている可能性もある。外科と皮膚科(切開・切断は外科の扱い)に相談した。年齢と病状を考慮して切開・切断は難しい(できない)ので、内科で抗菌薬投与で経過をみることになった。
以前、後天性血友病で左下肢の壊死性筋膜炎疑いで大学病院救急部に搬送した高齢女性がいた。それに匹敵する症例だった。
血液培養を提出後して入院で抗菌薬を開始した。解熱して、食事摂取は良好だった。会話もできる。これは保存的治療で軽快するのかもしれない。
細菌検査室から、血液培養2セットでグラム陽性球菌が検出されていると報告が来た。その後A群溶連菌らしい(確定はまだ)と報告が来た。抗菌薬の最適治療ができる。
病状が軽快するのはいいことだが、病棟看護師さんの話では、家族は重症なのでこれで亡くなると思ったらしい(これまで介護が大変だったが、これで終了かということ)。病院としてはベストを尽くすしかないが。
以前に超高齢女性が何度も肺炎で入院したが、その度に治療に反応して軽快していた。重症で入院した時も軽快したのでお嫁さん(高齢)にその旨を伝えると、また治ったんですか、と言われたことを思い出した。