なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

わからない症例

2020年01月12日 | Weblog

 12月半ばに72歳男性が、2~3週間前からの食欲不振・倦怠感・下腹部膨満感を訴えて内科新患を受診した。新患担当だった内科の若い先生(内科専攻医)に相談された。

 血算では貧血などの異常を認めなかった。ALP・γ-GTPが軽度に上昇していた。血清蛋白7.0g/dl・血清アルブミン2.8g/dlと低アルブミン血症がある。BUN14.1mg/dl・血清クレアチニン1.11mg/dl(eGFR 51)と軽度に腎機能障害もある。糖尿病があり、HbA1c7.1%だった。

 胸腹部CTで右胸水貯留と腹水を認めた。腫瘍マーカー(CEA・CA19-9)は正常で、CTで見る限り明らかな腫瘤は指摘できない。その後施行した上部消化管内視鏡検査では異常がなかった。

 肝硬変とは言い難いが、胆道系酵素が上昇していて、画像上胆道系に異常を認めないので、抗ミトコンドリア抗体を提出したが正常域だった。

 相談されてもこれといった考えも浮かばなかった。初診時はとりあえず、PBCに準じてウルソとスピロノラクトンを処方してみたが、その後の結果からは処方する根拠もなくなった。

 発熱はなく、初診時のCRPが4.6と出たが、その後の再検では1.0と低下した(抗菌薬・ステロイドの投与なし)。

 今週になって症状が続くので入院して点滴をすることになったが、今後の方針が立たない。IL2受容体抗体や血清・尿免疫電気泳動なども提出することにしたが、根拠のある検査ではない。エコーでみて腹水は採取できるが、それでわかるだろうか。

 

コメント (2)
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