なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

乳酸高値

2020年01月02日 | Weblog

 12月31日の日直の後、病院に泊まっていたが、夜間に連絡はなかった。1月1日午前7時半に当直医(バイトで来ている大学病院外科の若い先生)から連絡が来た。

 42歳男性が短時間(1分)のけいれんで救急搬入されていた。午前3時ごろに倒れる音がして、妻が発見していた。小児期からいつまでか覚えていないというが、てんかんで治療していたそうだ。

 糖尿病で、地域の基幹病院近くに開業している糖尿病専門医の医院に通院していた。当直医が血液検査をして、血糖236mg/dl・HbA1c13.3%と血糖コントロール不良を呈していた。ふだんもHbA1c12%くらいで、悪化したので処方が追加されたという。

 ライゾデク20単位皮下注を朝夕にして、SGLT2阻害薬とメトホルミン内服が処方されていた。追加(増量)したのはメトホルミンで、1000mg/日から1500mg/日に増量されていた。

 血液ガスは、搬入時はpH7.239・乳酸115だったが、その後に再検してpH7.385・乳酸14.0に改善していた。点滴はちょっとしか入っていないので、それが効いたわけではない。

 当直医から、糖尿病によるアシドーシスかどうかと言われたが、けいれん自体による一過性の変化だろう。けいれんの直後とその後の血液ガスの変化を証明したことになる。最初に連絡が来た時は、アシドーシスと乳酸高値といわれたので、メトホルミンによる乳酸アシドーシスも一瞬浮かんだが、そうではない。

 これまで、けいれん発作で血液ガスを検査したことはあまりないが、けいれんの証明にもなるので、とるべきなのだった。

 さらに15歳から20歳代始めにかけて、膵炎でクリニックに通院していたという既往がある。クリニック通院だけで入院はしていないので、程度はひどくないのだろう。腹部CTで確認すると、膵管に沿って石灰化(膵石)を認め、膵臓自体は著明に萎縮していた。家族歴はないが、特殊な慢性膵炎とそれによる膵性糖尿病ということになるのか。

 心配なので入院させてほしいというので、年明けまで入院とした。使いやすいイーケプラ内服を開始して、糖尿病の治療はかかりつけ医と同じとした。

 ライゾデクは持効果型(トレシーバ)+超速効型(ノボラピッド)で、一番血糖が上がる時間に合わせて打つことになっている。シックデイでは使いにくいので、個人的には嫌いなインスリンで全く使用していない。実際食べたくないので朝のインスリンは1回パスになってしまった。

 朝夕2回打ちになると、ライゾデクの1回で済むという利点もなくなってしまう。昼食後は超速効型がまったくないので血糖高値になるはずだ。当方の慣れた治療にすると、インスリン強化療法に切り替えになるので、短期間の入院だし、そこはいじらないことにした。

 地域の基幹病院には糖尿病・てんかん・さらに膵臓の専門医がいるので、精査を要する時はかかりつけ医からそちらに紹介してもらおう。

 

 

コメント
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