なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

気管支喘息発作

2014年08月19日 | Weblog

 89歳女性が内科クリニックからの紹介で受診した。10年前まで喫煙していたそうだ。若いころ、といっても60歳代に喘息発作で他院に1か月入院したという。当初は喘鳴が目立たなかったが、深呼吸をさせると、明らかな喘鳴が聴取された。

 胸部X線で肺気腫と診断される像だったが、胸部CTで見ると、気腫性変化はそれほど目立たない。白血球数・CRPは正常域だった。酸素飽和度は正常で、血液ガスでも酸素分圧73、炭酸ガス部夏36と問題ない。1週間症状が続いて、外来で点滴(記載なし)を受けたが良くならないということで、入院治療とした。

 慢性閉塞性肺疾患の感染症(ウイルス)による急性増悪とするか、喘息発作と表現するか。早朝に入院した80歳代男性は見事な気腫性変化で前者で間違いないが、この患者さんでは喘息発作とする方がいいのかもしれない。まあ、ほとんど治療は同じだが。難聴はあるが、認知症はなくて話はしっかりしている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上行結腸癌・多発性肝転移

2014年08月18日 | Weblog

 昨夜、80歳代女性が数日前から食事がとれず、意識も低下して救急搬入された。高血圧症・気管支喘息などで通院していたが、両側の小脳梗塞のために寝たきり状態になった。介護タクシーを使って何とか通院していた。誤嚥性肺炎で入院したこともあり、また肺炎かと思ったが違った。

 肺炎の有無を診るために胸腹部CTを撮影すると、肝臓内に多発性というか肝臓全体に癌の転移と判断される腫瘤影があった。胃と膵臓は異常なかった。上行結腸に不整壁肥厚があり、大腸癌だった。腹水も少量あった。

 来ていた夫(年下の二番目の夫)と息子二人(亡くなった先夫の息子)に病状を説明して、入院してもらった。点滴をしてから、開眼することもあった。血清カリウム1.9と低カリウム血症があったので、それを補正しながら。尿路感染症あるいは胆道感染症と思われる発熱に対して抗菌薬を開始した。病棟に上げて、ストレッチャーからベットに移すと、小柄でベットの長さの半分くらいの身体だった。今日検査した腫瘍マーカーはCA19-9とCEAは3ケタだった。どのくらいもつだろうか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

嚥下食で窒息

2014年08月17日 | Weblog

 先週に続いて今日も日直で病院に出ていた。小児科医も出ていたが、小児の受診は少なく、内科の方が多かった。70歳代男性が脳梗塞による症候性てんかんで搬入されて入院とした。施設入所中の89歳男性が誤嚥性肺炎で入院した。

 肺炎の患者さんの検査が終わると、CRAの患者さんが搬入された。施設に入所していた83歳女性で、嚥下食を喉に詰まらせて、施設職員の目の前で見る見るチアノーゼを呈してそのまま心肺停止になった。救急隊が到着して心肺蘇生術を行いつつ、当院に搬入した。すでに瞳孔散大していた。心臓マッサージ(胸骨圧迫)を止めると、心静止だった。救急隊は30分心肺蘇生を行っていた。挿管しようとすると、口の中からドロドロ+ツブツブの嚥下食があふれてくる。細い吸引チューブではすぐに詰まるので、吸引器につなぐ方の太いチューブで直接吸引した。その後に気管内のドロドロを吸引して、やっと気管挿管できた。病院に搬入されてから30分しても効果はなかった。家族を呼び入れて事情をお話しして、心肺蘇生を中止した。警察に電話して聞いてみると、原因は明らかなので警察の検視はいらないという。

 当直医の腎臓内科医にはさっそく急性アルコール中毒の救急搬入がきた。26歳女性。そちらはお任せしよう。内科は閉店だ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

DNRに心肺蘇生

2014年08月15日 | Weblog

 特発性間質性肺炎の90歳女性は縦隔気腫で2回入院していた。皮下気腫が目立ち、見たことのない看護師さんたちの教材になって、独特の握雪感を体験させてもらった。間質性肺炎自体の悪化や細菌性肺炎の併発などで入院した時は、酸素吸入・抗菌薬・ステロイドで治療するが、人工呼吸や心臓マッサージ(胸骨圧迫)まではしないことになっていた。実際に骨と皮で、胸骨を押すのは忍びない体格だった。入院すると、安静のみで皮下気腫はほとんど消失したが、縦隔気腫自体は完全に消失することはなかった。縦隔気腫から後腹膜気腫まで進行していたので、なるほど両者はつながっているのかと変な関心をしてしまった。

 一人暮らしで親戚一堂の世話を受けていたが、認知症の進行で自宅で過ごすのは困難となった(よく転倒して皮下出血がたえない)。前回の入院では、退院して病院からそのまま施設に入所した。 今朝がたトイレに行こうとして、急に転倒した。心肺停止状態となり、救急搬入された。当直は外部の先生で、さっそく心肺蘇生術を行い、呼吸は再開しなかったが心拍は戻った。人工呼吸器につないで病棟の集中治療室に入院となった。外来カルテには、悪化時はDNRの書類が入っていて、付箋もついていた。外部の先生なので気づかなかったのは仕方ないが、当直の看護師長も気づかなかったらしい。縦隔気腫から皮下気腫がますます増加していた。自発呼吸がわずかにあるが、昏睡状態で対光反射はなかった。

 親戚の人たちに事情をお話して、全員の同意を得て人工呼吸器は止めることにした。それでも不規則に自発呼吸があり、1時間ちょっともった。もし人工呼吸を継続すると、皮下気腫が増加してどこまで身体は膨れるのだろうかと思った。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今度の転院は肺癌

2014年08月14日 | Weblog

 基幹病院呼吸器科から肺癌の83歳男性が転院してきた。3か月前に内科医院から肺腫瘤で紹介され、気管支鏡検査(細胞診)で扁平上皮癌と診断された。年齢と状態から緩和ケアのみの方針となった。嚥下障害があり、4回肺炎での入退院を繰り返した。きりがないので、長く入院できる当院に紹介されてきた。今のところ、酸素吸入はいらない。いつも画像が添付されてくるが、今回はなかった。

 午後から胸腹部CTを撮ると、右肺の背側全体に腫瘤影が広がっていた。腫瘍か感染巣か区別もしにくい。今年いっぱいと言われていたが、誤嚥性肺炎を起こば急激に悪くなりそうだ。嚥下障害で食事はソフト食となっていた。退院にもっていくのは困難と思われた。最期まで数か月入院の経過になりそうだ。

 化学療法学会のホームページに臨床微生物学会の感染症学セミナー(8月24日)のお知らせがあった。募集人数も少ないので、まあダメかなと思っがが、東大の講堂で行われるので、試しに行ってみたいと思ってFAXを送った。意外にあっさり参加可能の返事が来た。8月30日には抗菌薬適正使用障害教育セミナーにも3年ぶりに行くので、2週連続して感染症セミナー参加となった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サムスカの講演会

2014年08月13日 | Weblog

 来月の医師会講演会は、肝性浮腫に対するサムスカの治療がテーマの予定だ。入院中のC型肝硬変の80歳代女性でサムスカを使っている。ただ、総合病院の肝臓専門医が使い始めて、そのまま継続になっていただけで、自分で処方を開始したわけではない。幸いに難治性の肝性浮腫の患者さんはほかにいないので、使用例はこの1症例だけだった。数年前に、アルコール性肝硬変の60歳代男性が腹水のコントロールがつかず、結局肝不全で死亡した。一時禁酒して軽快していたが、再度飲み始めて、はち切れそうな腹を抱えて再入院してきた。通常の利尿剤には反応しなかった。その時サムスカがあれば、使っていただろう。

 うっ血性心不全では、昨日転院してきた慢性閉塞性肺疾患の79歳男性がサムスカを内服していた。右心不全で浮腫が進行して危険な状態になったが、サムスカで著明に改善したと紹介状に記載されていた。今日は肺癌で入院している80歳代男性に使用を開始した。もともと心房細動・心不全があり、肺癌の進行とともに、低ナトリウム血症と浮腫が続いていた。利尿剤の効果はあまりなかった。純粋な?心不全ではない使用例ということになる。

 循環器科でもサムスカに使用は入院で慎重に使い始めていたが、最近は慣れたようだ。非代償性肝硬変の浮腫・腹水はあまり診たくないが、治療の選択肢が増えたのはありがたい。消化器科病棟に肝炎・肝硬変の患者さんがゴロゴロ入院していた研修医のころと比べれば、夢の薬といっていい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

慢性閉塞性肺疾患

2014年08月12日 | Weblog

 基幹病院呼吸器科から慢性閉塞性肺疾患の79歳男性が転院してきた。住所からいうと、自宅からさらに遠くにきたことになる。8年前に肺癌で手術をして、息子さんの話では、その前後で何度か危ない状態になったが、何とか乗り切ってきたという。昨年からは肺炎併発などの急性増悪で、これまた何度か危ない状態になった。

 当院に転院依頼がきていたが、その後に病状が急変したので、転院は延期にしたいと連絡が入った。話ははなくなったものと思っていたら、また転院依頼の連絡が来た。酸素吸入は1L/分だが、右肺は術後で容積が減少していてdestroyed lung状態だった(呼吸音はわずかしか入らない)。左肺も高度の気腫性変化を認めた。夜間などに急死する可能性があると言われていて、その点については納得?しているという。

 まず1か月経過をみて、病状が安定していれば、その後にどうするか(入院継続か療養型病床への転院か在宅介護か)を決めることにした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

糖尿病・背部膿瘍

2014年08月11日 | Weblog

 糖尿病で通院している53歳女性は、統合失調症で精神科病院に通院している。それ自体は安定しているが、子供っぽいというか、もともと精神遅滞が多少あるような印象を受ける患者さんだ。血糖コントロールが不良で何度か教育入院を繰り返している。教育入院でわかったことは、食事療法はまったく守られていないということだった。入院して外来処方を継続して食事療法を(仕方なく)守るだけでも血糖は改善した。肥満があるのでインスリン注射は極力避けたかったが、BOTで導入した。

 今日は予約日ではなかったが、精神科病院から早目の受診を勧めましたという紹介状を持って受診した。白血球数2万でCRPが23と高値だった。背中(右肩甲部に発赤・腫脹があり、シャツに膿が付いていた。外科外来で診てもらって、切開排膿の処置を受けた。血糖が700と上昇していたが、HbA1cは10%と変わりかった。もともとコントロール不良だが、感染症の併発で一気に上昇したようだ。

 入院して点滴(ヴィーンF)と抗菌薬(セファメジン)を開始した。ランタスにヒューマリンRを追加して、インスリン強化療法を行う。ヒューマリンRはミニスライディングで投与してランタスは規定量で継続とした。

 いつも入院すると折り紙や塗り絵をしているが、今日は倦怠感があり、ベットに横になっていた。3週間くらいで入院に飽きて、泣きわめくというのがいつものパターンだが、今回は血糖だけの問題ではなく化膿症に治療になるので我慢していてもらうしかない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

慢性硬膜下血腫、くも膜下出血

2014年08月10日 | Weblog

 今日は日直で病院に来ていた。82歳男性が4日前からのふらつきで受診した。麻痺はなかった(たぶん)。頭痛・嘔気もなかった。これは頭蓋内疾患と思われ、頭部CTを行うと、慢性硬膜下血腫だった。心房細動があり、循環器科でイグザレルト・バイアスピリンが処方されていた。ふらつきの程度は進行して受診しているので、されに進行する可能性もある。当院の脳外科医は旅行に出かけていて不在(もともと夜間休日は対応できない)。脳外科のある病院に電話してみたが、2か所は現在手術中で受けてもらえなかった。3か所目も手術していたが、今日緊急で手術するほどではないなら受けられるという返事だった。midline shiftはあるものの、意識はほぼ清明なので、大丈夫だろうと判断されたので、その旨を伝えて搬送となった。

 搬送し終わったとたんに、自宅の台所で急に倒れて意識がない64歳女性が搬入された。ふだん特に治療は受けていない。呼名に開眼せず、痛み刺激で麻痺していないほうの上下肢を動かした。右麻痺があった。頭部CTをとると、くも膜下出血の像が出た。さらに頭側へスキャンすると左putamenに相当する部位に血腫があった。通常の脳出血にしては辺縁が整だった。動脈瘤が破裂のかもしれない。脳出血、くも膜下出血と併記して別の脳外科のある病院へ転送した。新病院への移転を控えて忙しいのだろうと思って電話したが、あっさりと受け入れてくれた。

 降圧剤の点滴を開始していることと、呼吸状態がどうなるかわからないので、医師同乗とした。たまたま循環器科医が院内にいたので、お願いして同乗してもらった。無事に気管挿管せずに搬送先の病院に届けることができた(エアウェイのみ挿入)。脳外科医は手術場へくも膜下出血と連絡していたそうだ。

 午前中点滴していた患者さんの点滴がなくなっていたが、上記2名の診察で見る暇もなく。生食ロックにして待ってもらった。それぞれ軽快していたので、帰宅にできた。

 午後は90歳女性が喘息発作で受診した。先週から咳・喘鳴が続いて、かかりつけの内科医院で点滴を鵜jゖていたが良くならないという(点滴の内容は不明)。デカドロン注を入れて、多少症状が軽減したところで、胸部X線・CTを行った。肺炎・心不全はなかった。前のカルテの記載には60歳代から喘息とあった。室内気で酸素飽和度が92%だった。1週間喘鳴が続いているので、軽快するまではそれ以上かかると思われる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

胸水貯留は心不全?胸膜炎?

2014年08月08日 | Weblog

 89歳男性が39.0℃の高熱で受診した。症状は高熱だけだった。もともと心房細動・心不全で胸水が右よりも左側で目立つ方ではあった。肺炎に随伴した胸膜炎かというと肺炎らしい浸潤影には乏しい。膀胱炎症状や肋骨脊柱角叩打痛はないが、尿検査では尿路感染症を示唆する所見があった。腹部CTで両側腎臓~前立腺は異常がない。浮腫はなく、BNPは高いがふだんと同じ程度だった。

 心不全の胸水+尿路感染症なのか、胸膜炎とするべきか決められない。胸水を穿刺吸引して検査に提出したが、黄色で混濁がある。抗菌薬はセフトリアキソンで開始して経過をみることにした。

 この患者さんはケアハウスに入所しているが、難聴はあるものの認知症はないようだ。病院にはひとりで(家族は遠方)タクシーで来ていた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする