なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性大動脈解離ー専門医の紹介状

2014年08月07日 | Weblog

 昨日の午後に急性大動脈解離の55歳男性が救急搬入された。健診で高血圧症を指摘されていたが、治療は受けていなかった。突然の背部痛・胸痛で発症した。搬入時の血圧は90mmHgと低下していた。当院の循環器科は2名だが、今月から循環器センターのある病院から1か月交代で応援医師が来ていた。さっそく当院の循環器科医と一緒に診察に当たった。

 造影胸腹部CTで大動脈起始部から総腸骨動脈の分岐部まで解離していることが判明して、心エコーで大動脈弁逆流も認めた。緊急手術の適応なので、循環器センターからドクターカーで来てもらって、搬送となった。

 紹介状は応援医師が記載していた。さすがに完璧な紹介状で、参考になるのでコピーさせてもらった。、急性大動脈解離については、Stanford A型で偽腔開存型、大動脈起始部から腸骨動脈分岐部までの解離であること、頸動脈にも若干解離が及ぶこと、中等度から高度の大動脈弁逆流があること、心タンポナーデにはなっていないこと、左室壁運動は異常ないこと(右冠動脈の閉塞には至っていないことか)がきちんと記載してあった。自分が日直とか当直で診たとしたら、「急性大動脈解離でStanford A型です、よろしくお願いします」で終わりになると思う。

 後で聞くと、上行弓部大動脈人工血管置換術(人工大動脈弁も付属しているらしい)で7~8時間はかかるとだろうという。心臓血管外科医は大変だなあという話になった。

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看護師さんの入院ー上行結腸憩室炎

2014年08月06日 | Weblog

 内科病棟の看護師さん(53歳女性)が右下腹部痛で外来を受診した。正確には右下腹部痛があり、病棟師長さんから診察を依頼された。昨日の午後1時ごろ心窩部不快感があり、その後午後10時ごろには右下腹部痛が出現した。持続痛のはずだが、疼痛の消長があるという。体温37.1℃とわずかに発熱がある。腹部手術の既往はない。右下腹部に圧痛を認めたが、反跳痛(タッピング)はなかった。

 血液検査では白血球数16000でCRPが1.3だった。腹部エコー検査が混んでいて、CT検査の方が余裕があり、最初に腹部造影CTを行った。虫垂は正常だった。上行結腸の口側側に数個の憩室があって、そのうち1個の周囲に炎症像を認めた。腹痛の部位が虫垂炎よりも上側にあり、まさに憩室の位置だった。放射線科医に相談したが、憩室炎で間違いないと診断された。最初入院をいやがっていたが、周囲の看護師さんたちから言われて、しぶしぶ入院に同意した。もっとも、いったん病室に入った後、自宅に行って準備してくると出かけてしまった。

 今週は入院が多く、病棟の看護師さんのシフトがきつい。1週間、というより来週そうそうに治癒退院にもっていかなければならない。

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全身倦怠感・体重減少で紹介

2014年08月05日 | Weblog

 78歳女性が内科医院からの紹介で受診した。今年の初めから全身倦怠感と体重減少があるという。家族の付き添いがあるのかと思っていたが、一人で来られた。見た目は年齢を考慮すれば元気な方だろう。話を聞くうちに、心気症的な印象を受けた。

 夫と二人暮らしで、夫は当院で週3回透析を受けている。自分で車を運転して来ている。昨年の12月から腰痛があって、それでも透析には一人で来ていて、通院がひどい時数回のみ娘さんに連れてきてもらったそうだ。今、夫はシャント拡張術目的で腎臓内科に入院していた。夫が腰痛のために家庭内での世話が増えて大変だったという。

 紹介なので、一通り検査をしたが、全く異常はなかった。今日は検査するので絶食できたために空腹だという。現在の体重は50kgで、この患者さんの体重としてはちょうどいい。以前の60kgの体重はむしろ多い。貧血・肝障害・腎障害はなく、血清蛋白・脂質は正常域で栄養状態は悪くない。腫瘍マーカーと甲状腺機能まで検査したが異常はない。整形外科で腰部脊柱管狭窄症といわれているそうで、両側足底にしびれがあるという。杖をついてはいたが、歩き方と体の動きはすばやい。平熱は35℃で36℃になると熱くてぐらいが悪いという。患者さんの平熱が低い時は36℃でも、その患者さんとしては発熱ととらえるべきと、確か日野原先生が言っていたが、この場合は違うと思う。

 睡眠は特に問題ない。倦怠感の日内変動もはっきりしなかった。うつ病と言い切るのはためらわれる。もともと心気症傾向のある患者さんのようで、さらにうつっぽくなっていると表現したいところだ。SSRIを処方するのもやり過ぎか。気分は一日中同じなので、時々心気症の高齢者でやっている、気になるときに安定剤(個人的にはりーぜ5mgが好き)頓用とするのも変だ。では安定剤を朝夕くらいで(リーゼ2錠分2)処方するのは?結局、スルピリド(50mg)2錠分2を1週間分処方して経過をみることにした。

 大川端探偵社のDVDをアマゾンで注文した。漫画本も5冊目が出ているので今日の帰りに買う予定。多田便利軒・深夜食堂・孤独のグルメとテレビ東京の深夜枠ドラマは充実しているが、当地では残念ながら見られない。

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思いがけず髄膜腫

2014年08月04日 | Weblog

 85歳女性が右下肢の脱力で救急搬入された。ふだんは糖尿病・高血圧症で内科外来に通院していた。17年前に腰椎硬膜外血腫で手術を受けていた。両手で杖を使って自宅内は歩いていたが、先月末に右下肢脱力が出現してからは這って移動していた。息子を二人暮らしで、近くに住む娘が生活の支援や病院への送り迎えをしていた。転倒してからというが、打撲はあったかもしれないが骨折はない。脱力のために転倒したようだ。

 救急外来の担当医がは脳梗塞を疑って、頭部CT,頭部MRIを検査した。脳出血も脳梗塞もなかったが、左傍矢状洞部に石灰化を伴う髄膜腫を認めた。病変を指摘してくれた放射線科医に症状があうのではないかと言われた。脳外科は大学病院からの応援医師だった。コンサルトすると脳溝がまだ保たれていて。浮腫を伴っておらず、髄膜腫による症状ではないようだという(脳外科外来でフォローにはなった)。どちらかというと、感覚障害のほうが出る位置にあるが、感覚障害はなかった。腰椎MRIを整形外科医にみてもらったが、多少の椎間板ヘルニアはあるが、症状を説明できないという。

 患者さんもひどい時よりは少し改善しているという。尿混濁があって、炎症反応が少し上がってもいた。日中ひとりの生活でそのまま帰宅というわけにもいかないので、入院とした。脱水症をきたしているほどではないと思われたが、点滴と抗菌薬で経過をみることにした。

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急性腎盂腎炎、甲状腺疾患講演会

2014年08月01日 | Weblog

 昨日、62歳女性が急性腎盂腎炎で入院した。2日前から発熱があり、食事がとれなかった。その数日前から膀胱炎様症状もあったらしい。昨日内科新患(大学病院の応援医師担当)を受診した。高熱があり、尿混濁・白血球数とCRPの上昇と認めた。腹部CTも行われて、右腎臓がやや全体的に腫大して、腎周囲脂肪織に炎症像(dirty fat sign)を認めた。担当医は、高齢者ではないので外来治療にしようと判断して、外来で点滴500ml)の側管から抗菌薬としてクラビット点滴静注を開始してした。クラビット注がわずかに入ったところで、悪寒戦慄?が生じて、担当医から入院依頼の連絡がきた。

 外来の点滴室に行くと、患者さんは夢中になってベットの上で左右に動いていた。点滴用のベットが並んでいて処置がしにくいので、ストレッチャーに乗せて救急室に移動入れた。血圧は160と下がってはいなかった。話もできることはできた。ちょうど点滴がなくなるところだったので、ソルラクト500mlに切り替えた。看護師さんがクラビット注をゆっくり入れていて、悪寒戦慄が出てからはクラビットの点滴を止めていた。全身に発赤が出ていた。培養検査が出ていなかったので、尿培養と血液培養2セットを急いでとった。培養検査が終わることには患者さんも落ち着いて、全身も発赤も軽快消失していた。ほとんど普段通りに話ができるようになった。

 腎盂腎炎からの菌血症・敗血症としての症状かもしれないが、むしろクラビットによる薬剤性の症状と判断された。状態が落ち着いてから、セフトリアキソンの点滴静注を開始したが、特に症状はなかった。そのまま入院とした。今日は解熱してきて、昨日は39℃の発熱があったが、37℃台に下がっていた。食欲はまだあまりないという。1500ml/日の点滴とセフトリアキソン2g/日で来週まで継続して、月曜日に再検とした。

 昨夜は甲状腺疾患の講演会に行ってみた。製薬メーカーからの案内ではなくて、偶然に医師会雑誌で見つけた。甲状腺中毒症の鑑別、バセドウ病の治療、周産期管理、甲状腺眼症という内容だった。特に甲状腺眼症の話をしたかったと言う。講師は大学病院の内分泌を扱っている内科の甲状腺グループの先生(助教)だった。甲状腺専門医は数が少ないが、最後に甲状腺外来のある病院の名前を挙げていた。昔、甲状腺クリーゼの患者さんがいて大学病院の甲状腺グループに相談したら、今の大学病院のメンバーでクリーゼを診たことがある医師はいないので、引き受けられないと言われたことがある。この時は、メルカゾールの注射薬と取り寄せてなんとか治した。

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