特発性間質性肺炎の90歳女性は縦隔気腫で2回入院していた。皮下気腫が目立ち、見たことのない看護師さんたちの教材になって、独特の握雪感を体験させてもらった。間質性肺炎自体の悪化や細菌性肺炎の併発などで入院した時は、酸素吸入・抗菌薬・ステロイドで治療するが、人工呼吸や心臓マッサージ(胸骨圧迫)まではしないことになっていた。実際に骨と皮で、胸骨を押すのは忍びない体格だった。入院すると、安静のみで皮下気腫はほとんど消失したが、縦隔気腫自体は完全に消失することはなかった。縦隔気腫から後腹膜気腫まで進行していたので、なるほど両者はつながっているのかと変な関心をしてしまった。
一人暮らしで親戚一堂の世話を受けていたが、認知症の進行で自宅で過ごすのは困難となった(よく転倒して皮下出血がたえない)。前回の入院では、退院して病院からそのまま施設に入所した。 今朝がたトイレに行こうとして、急に転倒した。心肺停止状態となり、救急搬入された。当直は外部の先生で、さっそく心肺蘇生術を行い、呼吸は再開しなかったが心拍は戻った。人工呼吸器につないで病棟の集中治療室に入院となった。外来カルテには、悪化時はDNRの書類が入っていて、付箋もついていた。外部の先生なので気づかなかったのは仕方ないが、当直の看護師長も気づかなかったらしい。縦隔気腫から皮下気腫がますます増加していた。自発呼吸がわずかにあるが、昏睡状態で対光反射はなかった。
親戚の人たちに事情をお話して、全員の同意を得て人工呼吸器は止めることにした。それでも不規則に自発呼吸があり、1時間ちょっともった。もし人工呼吸を継続すると、皮下気腫が増加してどこまで身体は膨れるのだろうかと思った。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます