なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性腎盂腎炎、甲状腺疾患講演会

2014年08月01日 | Weblog

 昨日、62歳女性が急性腎盂腎炎で入院した。2日前から発熱があり、食事がとれなかった。その数日前から膀胱炎様症状もあったらしい。昨日内科新患(大学病院の応援医師担当)を受診した。高熱があり、尿混濁・白血球数とCRPの上昇と認めた。腹部CTも行われて、右腎臓がやや全体的に腫大して、腎周囲脂肪織に炎症像(dirty fat sign)を認めた。担当医は、高齢者ではないので外来治療にしようと判断して、外来で点滴500ml)の側管から抗菌薬としてクラビット点滴静注を開始してした。クラビット注がわずかに入ったところで、悪寒戦慄?が生じて、担当医から入院依頼の連絡がきた。

 外来の点滴室に行くと、患者さんは夢中になってベットの上で左右に動いていた。点滴用のベットが並んでいて処置がしにくいので、ストレッチャーに乗せて救急室に移動入れた。血圧は160と下がってはいなかった。話もできることはできた。ちょうど点滴がなくなるところだったので、ソルラクト500mlに切り替えた。看護師さんがクラビット注をゆっくり入れていて、悪寒戦慄が出てからはクラビットの点滴を止めていた。全身に発赤が出ていた。培養検査が出ていなかったので、尿培養と血液培養2セットを急いでとった。培養検査が終わることには患者さんも落ち着いて、全身も発赤も軽快消失していた。ほとんど普段通りに話ができるようになった。

 腎盂腎炎からの菌血症・敗血症としての症状かもしれないが、むしろクラビットによる薬剤性の症状と判断された。状態が落ち着いてから、セフトリアキソンの点滴静注を開始したが、特に症状はなかった。そのまま入院とした。今日は解熱してきて、昨日は39℃の発熱があったが、37℃台に下がっていた。食欲はまだあまりないという。1500ml/日の点滴とセフトリアキソン2g/日で来週まで継続して、月曜日に再検とした。

 昨夜は甲状腺疾患の講演会に行ってみた。製薬メーカーからの案内ではなくて、偶然に医師会雑誌で見つけた。甲状腺中毒症の鑑別、バセドウ病の治療、周産期管理、甲状腺眼症という内容だった。特に甲状腺眼症の話をしたかったと言う。講師は大学病院の内分泌を扱っている内科の甲状腺グループの先生(助教)だった。甲状腺専門医は数が少ないが、最後に甲状腺外来のある病院の名前を挙げていた。昔、甲状腺クリーゼの患者さんがいて大学病院の甲状腺グループに相談したら、今の大学病院のメンバーでクリーゼを診たことがある医師はいないので、引き受けられないと言われたことがある。この時は、メルカゾールの注射薬と取り寄せてなんとか治した。

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