Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

国立能楽堂『金春会定期能』 正面席

2010年01月17日 | 古典芸能その他
国立能楽堂『金春会定期能』 正面席

知り合いに誘われて、お初に国立能楽堂に足を踏み入れました。能鑑賞は学生時代に勉強でほんの少しばかり。それ以来ぶりです。プログラムは大曲が並び12:30開演で17:15終演。しかも休憩はなんと15分の1回のみ…まじで~~?歌舞伎で長時間観劇が慣れているとはいえ、さすがに疲れました。でも、面白かったです。また何かの折に観てみたいな。

能『小鍛冶』櫻間金記
狂言『佐渡狐』野村萬
能『楊貴妃』山井綱雄
----休憩15分
能『角田川』辻井八郎

以下、能鑑賞、初心者の感想。ピントがずれていたらすいません。

演目はきちんと勉強したことがあるのと、内容は一応知っているのとばかりだったので事前予習をしなくてもなんとかなりました。それと謡がかなり聞き取れたのに自分でビックリ。謡が聞き取り易い演者が揃っていたせいか?それとも歌舞伎を観てきた積み重ねがここに活かされたのか。学生時代、予習してしかもテキストを手元に置いておかないと聞き取れなかったのに。

それにしても、久々の能でしかもほとんどケレンのない演目ばかり3曲は疲れました…。といっても色々面白かったです。極限までにそぎ落とした表現形態がやっぱり凄いなあと。しかし、この表現形態へと進化し残ってきたのも考えたら面白い。省略・抽象って観る側も選ぶから、そこら辺で教養趣味として進化していったりしたのかな?とか。学生時代の勉強したはずだけどすっかり忘れてる…今度きちんと能の歴史を調べてみよう。

今日は「なんかわかんないけど凄い」というまでのものはなかったけど(学生時代拝見した時にとにかく圧倒させられたことがあった)、きちっと見せてきたと思います。このほぼ初心者の私が飽きなかったんだからレベルは安定していたのだと思われる。各曲とも鳴物のバランスがもうひとつなのが残念だったかな。小鼓と大鼓がよくても笛が、とか大鼓と笛がよくても小鼓がもう一歩とか。能も総合芸術だよねえ。

「小鍛冶」
櫻間金記さんは動きも謡も渋い感じ。装束は地味かなあ。どうも歌舞伎とか文楽の派手なのを観てるから…。ワキの方が結構お年なのかな、足がつらそうでちょっとハラハラしました。

「佐渡狐」
狂言はやっぱり楽しいというかほんとに息抜きになるねえ。野村萬さんは品のあるバキッとした感じの狂言師さんでした。さっき調べたら人間国宝さんだった。

「楊貴妃」
これは学生時代観たことのある演目だったので入り込みやすかった。山井綱雄さん、少女のような楊貴妃(笑)。いわゆる艶があんまりないかなあ。でもその代わりとっても可憐で切々とした雰囲気がありました。この方は謡に表情があると思う。

「角田川」
名曲中の名曲ですね。辻井八郎さん、やはりまだ若い感じで狂いの部分や母としてのふくらみというか哀れさが足りないかな。でも謡にハリがあっていいし、体の運びや形がしっかりしているかなと。泣きの形が良いと思いました、能面に表情がよくついていたというか。 子方がとっても可愛かったです。

「楊貴妃」と「角田川」は若手中堅どころでしょうか。上手いとは思うんだけどまだ若いなあって思いました。