「やっぱりまだみなさんお花見っていう気分になれないみたいで」
『檑亭』の入口のおばちゃんが嘆く。
「桜も通りは咲いているのに“下”はまだなのよ」
庭園内の開花さえも、なぜか遅れているらしい。
500円を支払い券を受け取って中へ。ただし、これは入場券ではなく、飲食代からお会計時に500円引かれるシステムだ。
食べたのは「おせいろ」(882円)。鎌倉山というロケーションのセレブ感に比べれば、意外に低価格な印象。ボリュームも、まずまず、コシもまずまずで、汁もまずまず。そばがキリリと冷えているのが嬉しい。
「10番」と記された木札、赤いテーブル、着物姿のスタッフ(全員おばちゃん)、そして窓の外に広がる鎌倉山の景色…なかなかいい雰囲気で食べることができる。
窓際ではどこかのテレビクルーが「そば定食」(2625円)らしきものを撮影中。
平日とはいえ、お昼近くなってきたらあっという間に満席となった。ふだん通りの春だったら、もっとスゴイことになっているのかもしれない。
さて、帰りにレジで10番の木札と入口で受け取った券を出すと、支払うのはたったの382円。なんだかとっても得した気分になる(笑)。
ガラガラと引き戸を開けて、満開の桜が飛び込んできたら、きっともっとお得だと思えたはずだ。