そろそろ帰り支度をと思ったとき、階段を上がってくる女性の足音が。
「お菓子を一緒に食べていただけますか?」
おぉ、ありがたい。小腹が減ってたんですよ。
しかも、いつも行列が絶えないお店なのに、遅い時間だったからか列がなく「いまだ」と飛び込んでゲットしたというチーズタルト。
タルトに守られたふわふわの部分の口当たりがすばらしく、またふくよかな味わいにうなる。商品誕生のストーリーを聞くにつけ、そのおいしさが倍増。
夜まで開けてると、いいことがあるもんだ。ごちそうさまでした。
「こんど、カレシを連れて来たいんです」
大歓迎ですよ。でも、えっ?
実は、自分の両親に初めて会うので、彼の緊張をほぐすためにここに寄りたいというのだった。
えーーーっ!
フェイスブックのメッセージでは以前からやり取りをしていたが、彼女と会ったのは今日が二度目である。そんな僕に、二人の人生にとっての大一番を告白してくれるなんて。
うれしいやら、恥ずかしいやら(笑)。
「あぁ、よかった。他に会員さんがいなくて。いたら、こんな話できなかったです」
わぁ、やっぱり告白だったんだ(笑)。
なんだか、お父さんになった気分だよ。よくわからんけど。
そうか、そうか、いいですよ、緊張をフニャフニャになるまで揉みほぐして差し上げましょう。
カレシの二人や三人、連れてらっしゃい!
小腹も、胸もいっぱいになった午後10時である。