湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

白い春、白いご飯

2009-06-23 22:49:16 | B食の道


今夜が最終回となったドラマ『白い春』。
ドラマを連続して見ること自体珍しいのだが(不景気のおかげで帰宅が早いから)、なかなか面白くて、しかも見たことのある食堂まで実名で登場して驚いたのである。
それは『下総屋食堂』。以前、国技館を訪れた時に前を通り、そのなんとも懐かしい姿にひかれていつかは行こうと決めていたお店だ。
最終回を記念して行ってきた(笑)。
午後6時過ぎ。藍色の暖簾の向こうは引戸が開け放たれて、テーブルと丸くて赤いパイプ椅子が見えている。まるで真夏の夕暮れのような風情だ。
誰もいないと思って暖簾をくぐると、奥のテーブルのところにお母さんがちょこんと座っていた。
その後ろに棚があり、見ながら注文するシステムらしい。
「さば味噌、それから茄子…」
「ご飯は?大盛りと中盛りがあるけど」
と、わざわざ丼を出して見せてくれる。普通の丼が中盛りだというので、
「じゃ、中盛りにして」
「味噌汁、それとも豚汁?」
「豚汁!あと、大根もちょうだい」
「は~い、じゃあちょっと待っててね」
とお母さんは厨房へ。
すると、客席の隣にある和室から、お父さん登場。おぉ、首にタオルをかけて、やっぱり真夏の夕暮れのよう。そのお父さんが配膳をしてくれる。


下総(千葉県)出身の先代が、昭和7年に始めたそうだ(お父さんは「広島も山奥」出身)。
「7年じゃあ、うちのオフクロと一緒だぁ」というと、
「アレも7年生まれ」とお母さんを指差す。
ということは、創業77年かぁ、スゴいですね。きっとこの味も、ずっと変わってないんだろうなぁ。まさにオフクロの味。どれも白いご飯を引き立ててくれる。めちゃめちゃ濃厚な豚汁には、それはそれはデッカイじゃがいもが入っているぞ。あぁ、千葉の田舎に帰ったみたいだ。実家は横浜だけど(笑)。


どれもシンプルだけど、うまい。いや、シンプルだからこそ、うまいのだ。
箸が進む、進む…。
また着席したお母さんとお父さんと一緒にテレビのニュースを見ながら、あれこれ話す。
おいおい、家族か。

「あっ!」
突然思い出して声をあげてしまう。
「お母さん、さば味噌きてないよ!」
「あらやだ、忘れてた、ごめんなさい!」
あわてて立ち上がり、お母さん再び厨房へ(笑)。


この時、すでにご飯は3分の2を消化。最後は遅れてきたさば味噌オンリーで味わうことになってしまった。残念ながら、かなり満腹でご飯の追加はさすがにできなかった。一品一品は少ないように見えて、実はなかなかのボリュームだったのだ。
そうそう、値段がどこにも記されてなかった(笑)。5品で1000円ちょうど。1つ200円!


「こうやって写真撮らせてくれっていう人います?」と尋ねると、
「撮るってゆーか、テレビが来たよ。知ってる俳優が来てね。そういやぁ、今夜出るよ」
と嬉しそうに笑った。
他の話ばっかりしていて、『白い春』のこと、すっかり忘れてた。
まぁ、そんなこと、どーでもいいと思えるほど、なんか懐かしくて、温かくって、居心地のいいお店だったなぁ。

♪タラララ、ラ~ラ、タララ~…というわけで、アド街風に。


で、いまテレビ見たら、働いてましたアベちゃん、この店で(笑)。
「妙に気に入られてな。店、継げって言われてんだ」だってさ。

で、劇的な結末に、家族大泣きでした。

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