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もっとはやく知っていれば、もっと長い付き合いになったはず。そんな出会いは、よくある。
本郷の喫茶店『こゝろ』も、その一つ。もっとも僕が東京大学に入っていさえすれば、すでに何十年という単位での付き合いだったのだが(笑)。
東京大学正門に近いこのお店は、通えば通うほど、あぁ僕にぴったりだと思えてくる。古い店構え、懐かしい扉、薄暗い店内、ギシギシいう床。2階に上がっていく急な階段がまたいい。上がりきって振り返ると、窓いっぱいに東大の杜と赤いレンガが飛び込んでくる。
窓の前に並んでいる古い緑色のソファー。間隔は狭く、もちろんテーブルも低い。足を組むには、斜めを向かなければならない。時代を経て日本人の体格は大きくなったが、ここは昭和30年頃の創業当時と変わっていないのだ。
注文するのは、いつも『ウインナーライス』(570円)に『目玉』(60円)載せ。それに、時間がある時はホットコーヒー(350円)だ。
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赤いウインナーと、キャベツのソース炒めがご飯の上に載った『ウインナーライス』は、B食(世にいうB級グルメ)の極みだと思っている。こんな食べ物、他では絶対に出会えない。色合いも素晴らしい。かつては白菜の漬物のかわりに真っ黄色のたくわんが添えられていた。
しかも、それをアカデミックな東大間近に感じながら食べることができるのだ。
味は想像通り。それ以上でも、それ以下でもない。それを、わざわざここで食べるからこそ価値があるのだ。
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それに、いつもすいている。特に2階は、昼どきだというのに今日も誰もいなかった。1階はラジオの音がしているが、2階はそれもなく静か。窓を開けると道を行くクルマの音と歩行者の話し声、そして木々を揺らす風の音が聞こえてくるばかり。
静かにコーヒーを飲みながら読書ができる。戻らなければならない時間が恨めしい。
階段を降りていくと、いつもはレジの前が指定席の白髪のお父さんが不在。あわてて厨房からお母さんが出てきた。ウインナーライスの製作者と初対面だ。
「この人がつくっていたのかー」
「この人が食べていたのかー」
という感じでお互い笑顔の交換であった。
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ここに来るたびに日記に記したわけではないのですが、エントリーしていたものを以下に。
こゝろ こゝろ こゝろ こゝろ こゝろ こゝろ こゝろ
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お父さん、外にいらっしゃいました。
前に書いたかどうか忘れてしまったので一応言っときますが、こゝろが開店する前はここ、『中村屋』だったんですよ。そう、移転して『新宿中村屋』としてスタートしたそうです。