湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

こゝろの心

2009-11-27 22:29:50 | 本郷後楽園昼休み散歩


もっとはやく知っていれば、もっと長い付き合いになったはず。そんな出会いは、よくある。
本郷の喫茶店『こゝろ』も、その一つ。もっとも僕が東京大学に入っていさえすれば、すでに何十年という単位での付き合いだったのだが(笑)。
東京大学正門に近いこのお店は、通えば通うほど、あぁ僕にぴったりだと思えてくる。古い店構え、懐かしい扉、薄暗い店内、ギシギシいう床。2階に上がっていく急な階段がまたいい。上がりきって振り返ると、窓いっぱいに東大の杜と赤いレンガが飛び込んでくる。
窓の前に並んでいる古い緑色のソファー。間隔は狭く、もちろんテーブルも低い。足を組むには、斜めを向かなければならない。時代を経て日本人の体格は大きくなったが、ここは昭和30年頃の創業当時と変わっていないのだ。
注文するのは、いつも『ウインナーライス』(570円)に『目玉』(60円)載せ。それに、時間がある時はホットコーヒー(350円)だ。



赤いウインナーと、キャベツのソース炒めがご飯の上に載った『ウインナーライス』は、B食(世にいうB級グルメ)の極みだと思っている。こんな食べ物、他では絶対に出会えない。色合いも素晴らしい。かつては白菜の漬物のかわりに真っ黄色のたくわんが添えられていた。
しかも、それをアカデミックな東大間近に感じながら食べることができるのだ。
味は想像通り。それ以上でも、それ以下でもない。それを、わざわざここで食べるからこそ価値があるのだ。



それに、いつもすいている。特に2階は、昼どきだというのに今日も誰もいなかった。1階はラジオの音がしているが、2階はそれもなく静か。窓を開けると道を行くクルマの音と歩行者の話し声、そして木々を揺らす風の音が聞こえてくるばかり。
静かにコーヒーを飲みながら読書ができる。戻らなければならない時間が恨めしい。
階段を降りていくと、いつもはレジの前が指定席の白髪のお父さんが不在。あわてて厨房からお母さんが出てきた。ウインナーライスの製作者と初対面だ。
「この人がつくっていたのかー」
「この人が食べていたのかー」
という感じでお互い笑顔の交換であった。



ここに来るたびに日記に記したわけではないのですが、エントリーしていたものを以下に。

こゝろ こゝろ こゝろ こゝろ こゝろ こゝろ こゝろ


お父さん、外にいらっしゃいました。

前に書いたかどうか忘れてしまったので一応言っときますが、こゝろが開店する前はここ、『中村屋』だったんですよ。そう、移転して『新宿中村屋』としてスタートしたそうです。

ノースモーキン・ブギ

2009-11-02 23:57:24 | 本郷後楽園昼休み散歩


昨日は、そういうわけでオフィスの引っ越しを終え昼飯でも食って帰ろうかと、一人なんとなく神保町方面に向かったのだ。
途中の高校や日大でが学園祭のようで、なんだか街中がワサワサしている感じ。それが神保町に近づくに連れて、さらにワサワサ度が増してきた。普段でも人通りが多いと思うけど、今日はなんだか様子が違う。
『古書まつり』だった。
歩くのも苦労するほどの混雑ぶりだ。特にすずらん通りなどはワゴンも並んでエライことになっている。掘り出し物があるんじゃないか、お宝に巡り会えるんじゃないかとワクワクする一方で、一刻も早く人ごみから逃れたい、本はやっぱり人に邪魔されずゆっくりじっくり見たいんだよねと実感する。結局、静かそうな書店へと潜り込むのだった(笑)。
そして、新刊1冊と古本2冊を買い込む。その足で白山通りを渡って九段方面に歩みを進めると、なにやらジャズバンドがライブ中。勢いのある演奏がワサワサ度をさらにヒートアップさせていた。お揃いの帽子に、お揃いのジャケット&パンツ姿の初老のおじさんたちがちょっとイカしている。
その中に一人だけ帽子を被らず、ひときわ存在感を放っているオールバックがいるぞと思いよく見たら宇崎竜童氏だった。還暦を迎えた三年ほど前からこのバンドをやっているとのこと。


トランペットを吹いたり、歌ったり、喋ったりと実に精力的。めちゃくちゃカッコイイんだけど、喋りになると寄る年波、健康や病院ネタとなる(笑)。
デビューした当時、『銀座NOW』でよく見たけど、一体あれから何十年が過ぎてしまっただろうか。
「す~、ぱっ、ぱっ」衝撃的なデビュー曲を、よく口ずさんだものだ。
ところで、健康のためにタバコはやめたのだろうか?


絶対反対バーガー販売中

2009-05-27 22:37:17 | 本郷後楽園昼休み散歩


ここを通る度に見とれてしまう素敵な建物。
以前紹介したことがある『神田猿楽町会々詰所』だ。調べてみたら、思ったとおり元は交番だった。
それにしてもいい雰囲気ですよね。今にも夏目漱石先生が着物姿で現れ前を横切り白山通りに飛び出して、向こうからやって来た市電に乗りそうだ。
いや、今日はそんな話ではない。この建物の横に立っているノボリだ。
パッと見て、向かいにあるお蕎麦屋さんが『ライスおかわり無料』かなんかの宣伝をしているのかと思った。あるいは『牛丼300円キャンペーン』とか、または『住宅見学会実施中』とか。そんなデザインですよね。
でも、よく見たら『ワンルームマンション建築反対』と書いてあったのだ。
この手のノボリといえば、やっぱり手書きで殴り書き的な、しかも白地に真っ赤か真っ黒な文字で、その切実な叫びが聞こえてきそうなものに限ると思うな。やっぱり手作り感ですよね、大事なのは。いくら今はネットで簡単にオーダーできる時代だとはいえ。これでは悲壮感が、まったく伝わってきません。『カレーライス100円引き』だと思っちゃう。
僕も反対ですので、ぜひ手作りのノボリを!
と思ったら、すでにそのマンションが、かなり建っちゃってました。
でも頑張れ、神田猿楽町々会詰所!



実物大パノラマ散歩

2009-05-22 23:19:35 | 本郷後楽園昼休み散歩


さっきから小さな子供が走り回っている 。
回廊になっているので楽しいはわかる。でも、ここは文京シビックセンター(文京区役所)の23階展望フロアだ。キャーキャー叫びながら走っているより、窓の外を見たほうがよっぽど楽しいのに!
お父さん、お母さん、抱っこしてあげたらどうかな?
風が強かったので、お昼休みには久しぶりに空中散歩にやってきた。でも、思ったよりも靄がかかった感じで残念。それでも、いつもは自転車で走っている道を上空から辿ったりして楽しむ(一人で何をやっている!)。
こうやって見ると、けっこう遠くまで行っちゃってるもんですね。改めて昼休みの自分の行動半径にビックリした(笑)。
Googleアースなんかで真上から見るよりも、斜め上からの眺めは遠近感も手伝って迫力満点。そりゃ本物だからね、これは(笑)。ここへ来ると、いつもあっという間に時間が過ぎてしまうのである。






観覧車を見下ろす。

昔ながらの顔がある

2009-05-13 22:25:47 | 本郷後楽園昼休み散歩


おととい走った神田連雀町とは靖国通りをはさんだ南側をブラリ。もちろん会社のママチャリで。
このあたりは戦争でかなり焼けてしまったそうだが、残っている建物も意外に多い印象だ。しかも、その多くがシャッターを閉めている中、現役という建物もあって嬉しくなる。
ほんの少し東へ行けばこんなお店もあり、もうJR神田駅だ。
このあたりも、昼休みの散チャリではなく、1日ゆっくりと歩いてみたい界隈である。

写真は有名な『顔のYシャツの店』


たぶん現役のガラス屋さん。前の列の先は、お弁当を売る車。


この建物も現役バリバリ。お酒は飲めないが一度は縄のれんをくぐってみたい『みますや』。おや、お昼の定食もやってるんだ!


角にはステキな建物が多いですね。


こちらは、いわゆる「角の煙草屋さん」。


裏へまわると、すごい賑わい。青空喫煙コーナーのようです。ここ、たしか千代田区でしたよね。

ヒヤリ40分の旅

2009-05-12 21:54:56 | 本郷後楽園昼休み散歩


お昼休みの散チャリは、お弁当を食べ終えて12時20分頃に出発する。
13時には席に戻らなければならないので、ベダルをこぎながらも常に帰路にかかる時間を計算しながらというわけだ。
散歩や散チャリの楽しみのひとつが、路地に迷い込むこと。しかし、お昼休みに限ってはそれもNG。路地には入っても構わないが、迷い込んではいけないのだ。以前すっかり方角がわからなくって、大汗をかいた経験がある。
というわけで、ちょっと遠くまで行くと、なんだか楽しむというよりも単なる運動のようにも思えてくる。
今日も、そんな感じ。何の目的もなく白山通りを北へペダルをこぎ、途中何度か軽く路地に入った程度だ。細い道の向こうに大通りが見えたので、一旦出ておこうと進むと、見覚えのある風景が広がっていた。休日に歩いたことのある千石の交差点だった。
これだったら、お弁当が休みの日にはあのお店でハンバーガーだってイケそうだ。いや、このあたりなら、いい定食屋さんもありそうじゃん。ん~絶対ある、ある。そう思うと、なんだかウキウキしてくる。ここまで来た分、これから重いママチャリのペダルをこいで帰らなければならないのだが、ちっとも苦にならない。
やっぱり散チャリは楽しいのである。

写真は、その千石あたりの住宅街の中で見つけた洋食屋さん跡。左上の看板、洋食と書いた筒がグルグル回っていたのだろう。この建物の名前も『なゝマンション』とは、なんともステキ。

戻る時間だ連雀町

2009-05-11 21:51:40 | 本郷後楽園昼休み散歩


昼休みの散チャリは、ちょっと足を延ばして神田連雀町、現在の神田淡路町まで。
少し遠回りだけれど神保町経由で行けば、アップダウンがなく10分強で到着する(とはいうものの、お弁当を食べてから出発するので、ゆっくりはできない)。
どうして今日はこのあたりかというと、先日読んだ『TOKYO老舗・古町・お忍び散歩』(坂崎重盛著 朝日文庫600円+税)で、実に魅力的に描かれていたから。


登場する店は、すでにいろいろなところで紹介されているのだが、是非ともこの目で確かめてみたくなった。
いいですねぇ。昼休みだというのに、ぞろぞろサラリーマンたちが歩いていない。ちょっと枯れた感じが嬉しい。ポツポツと姿を見せる古い店構えの存在感は、足を止めさせる(正確にはベダルに乗せた足を)力がある。
おっと、もう帰る時間だ。こいつは、今度改めてゆっくり歩かないといけませんね。そして、目だけでなく、舌でもシッカリ確かめないことには(笑)。


『かんだやぶそば本店』で、ずず~っとやった後は…


『竹むら』であげまんじゅうかあんみつをやって…


で、歯の治療ですか(笑)


おや、路地を抜けたら旧交通博物館が。なかなか解体されませんね。どうせなら保存を。

建物今昔

2009-04-24 23:17:27 | 本郷後楽園昼休み散歩


素敵な建物ばかりに目がいってしまったのだ。
自転車を停めデジカメのモニタを覗いて、ようやく背景にある高層ビルの存在に気づき驚いた。
前の建物は印刷屋さんらしい。後ろは住友不動産のオフィスビルだ。生み出すお金の差はケタ違いだろう。
でも、僕は断然印刷屋さんの建物が好きで、ここから産まれる印刷物がきっと好き。効率的で高速でシステマチックな工程でできたものより、たぶん温かいはずだ。働いている人だって、いい人たちに違いない。
そして、間違いなく彼らはこの建物をいつまでも大切に使い続けてくれる人たちなのだ。そう思いたい。

和風な洋館

2009-04-20 22:20:52 | 本郷後楽園昼休み散歩


なにフウと言うのだろう。
ロッヂ風? チロル風? それともヒグチ君のヘアスタイル風?
僕が小学生から中学生の頃、新興住宅地にこんな造りの家をどきどき見かけた。
独特のラインの洋風な屋根なのに和瓦だったり、玄関も和風の引戸だったりと、不思議な印象なのだ。
新興住宅地には友達がたくさんいたのだが、残念ながらこのタイプの家の子とは縁がなかった。
応接間には立派な暖炉なんかがありそうな気もするが、家の中はきっと基本的には和風なんじゃないかなといつも思っていた。
しかも、どう考えたって暗そう。江戸川乱歩の小説にでも出てきそうな、天地茂主演のドラマのロケに使われたような、そんな怪しいイメージで佇んでいるのだった。


写真は二軒とも、 あたりの坂の中腹に。流行ったのだろうなぁ。

坂の町から橋の町へ

2009-04-15 21:42:23 | 本郷後楽園昼休み散歩


お天気が回復したので、また昼休みに散チャリ再開。
このところ飯田橋方面を開拓中だ(何を開拓しているんだか…)。こちら側は、台地が落ち込んでいて神楽坂や目白の手前までは平地が続く。だから、割とラクにペダルがこげるエリア…のはずだったのだが、今日は風が強くて予想以上にカロリーを消費することになってしまった(いいぞ)。
江戸川橋の交差点で引き返しうろうろ。このあたりも印刷所や出版関係の中小企業がひしめいている。トッパン印刷があるからこそなのだが、ランドマークともいえるその本社ビルの近代的で巨大な風貌とは実に好対象なのだ。
今日の写真は、そのトッパンではなく、新たなランドマークとなりそうなビル。69戸がゴソッと潰された所に、現在ニョキニョキ成長中だ。それを、このあたりから見上げた。
トッパンのビルはここに写ってました。