湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

フィルムで逢いたい人

2016-03-29 23:54:13 | ぶらぶらミュージアム散歩


僕が初めて彼女を見たのはもう大人になっていたころで、テレビでやっていた「ノンちゃん雲に乗る」の母親役に見とれた。
次に見とれたのは、もうすっかり大人に・・・いや、おっさんになってからで「晩春」「麦秋」「東京物語」といった小津作品だった。

原節子さんは、清楚で、美しく、それでいて力強く存在感があった。

今日、鎌倉市川喜多映画記念館で開催中の特別展「女優・原節子」を取材。
学芸員さんに説明いただきながら観覧。役得である。
狭く静かな館内なので、他の来館者も頷く(笑)。

あらためて作品を見てみたいと思った。
同館では今もフィルムを映写している。デジタルではなく、フォルムでこそ見たい気もする女優さんだ。

写真は小町通り。春休みだからか休日のような賑わいでなかなか進まず、途中から脇道に入って記念館に向かった。記念館は静かですよ(笑)。

平日午前美術館

2016-01-21 22:36:01 | ぶらぶらミュージアム散歩


「学芸員さんが美人です」
ご紹介くださった女性が、そう教えてくれたのだ。

今朝は仕事でその美人にお話をうかがった。
しかもだ、一通りインタビューさせていただいた後、ちょうど今日から始まった企画展をマンツーマンで解説いただくという幸運!

たとえば、「日曜美術館」とか、「ぶらぶら美術館・博物館」で聞かせてもらっているようなお話を独り占めということ。しかも至近距離で、しかも美人学芸員から。
これはかなりのゼイタク。メチャメチャ役得である。

できれば一日中でもお聴きしていたかったのだが、蔵書室を開ける時間が迫り、相変わらず混雑している小町通りを、後ろ髪を引かれつつ一人足早に引き返していくのであった。

かまきんカウントダウン

2016-01-10 22:48:27 | ぶらぶらミュージアム散歩


日本で最初、世界でも3番目にできた公立の美術館だという「県立近代美術館 鎌倉」(通称かまきん)。
敗戦後、復興は文化からとの呼びかけで1951年に完成している。僕が生まれる前から、鶴岡八幡宮の平家池のほとりにあの建物があったのだから驚く。

それが今月末でいよいよ閉館(建物の存続は決まったようだ)。
このところなかなか行けなかったのだが、フェイスブックでの呼びかけがきっかけで何とか昨日出かけた。


チケット売り場から行列である。
もともと狭い所に、見たこともない数の人が押し寄せていた。ワイワイガヤガヤ。ここが美術館であることをすっかり忘れて、紹介された方と名刺交換。当然、係の方に注意されてしまうという失態(笑)。

今日は作品の鑑賞というよりも、建物の鑑賞と体感だろうか。しっかり味わっておくことに努めたのだった。

あの日、見上げた「女の一生」を、元・学芸員室から見下ろせたのは収穫。




写真のイサムノグチのオブジェなどは「県立近代美術館 葉山」へ移されるとのこと。

僕も首ったけ

2015-10-28 22:01:51 | ぶらぶらミュージアム散歩


五郎丸選手のあのポーズは、この「宙腰の人」をヒントにした!
というのは、桜色の・・・いや真っ赤なウソです。

これは、五郎は五郎でも、萬鐵五郎の作品。

先日、休館日だった茅ヶ崎市美術館を再訪し、「棟方志功 萬鐵五郎に首ったけ」展を観てきた。

二人はニアミスしたものの、実際に会っていないという。でも、棟方さんは萬さんにぞっこんだったそうだ。随筆に、そう書いてある。その原稿用紙も展示されている。
そんな二人の作品が所狭しと展示してある。いいタイミングで二人の作品が交錯する仕組みも素晴らしい。面白い。とても楽しい。

ただ、こんな展覧会を観にきているのが、お年を召した方ばかりというのが残念だ。若い人たちにこそ観てほしい。エネルギーに満ちた筆致は、どれも紙やキャンバスから飛び出しそうな勢いで迫る。それでいて、どこか穏やかな気持ちにさせてくれる(個人的な感想です)。

そうか、若い人に観てもらいたいと書いたけれど、お年寄りがパワーをもらっているのかぁ。
オレもその一人だったよ(笑)。

6歳で観るき?

2015-08-25 22:24:54 | ぶらぶらミュージアム散歩


ペコちゃん展、好調のようだ。夏休みを絡めたのも奏功。全国各地から観覧者があるという。
女性館長さんの著者も読んだが、やっぱりステキな美術館だなぁ。地元民としてはうれしい限り。

先日「はじめまして、美術館」という鎌倉のNPOの方とお会いしたが、子供たちにとっての初美術館としても「ペコちゃん展」は最適だ。帰りにミルキーを買ってあげたら、一生忘れないと思う。美術館は、敷居が高いなんて思わないはずだ。

ちなみに、彼女は永遠の6歳。

ペコちゃんのすべて

2015-07-15 22:51:08 | ぶらぶらミュージアム散歩


朝イチで平塚市美術館で始まった「ペコちゃん展」へ。
実は美術館のすぐ裏手に不二家の工場がある。という関係があったからこその企画だと思う。いつもながらに、やるな、平塚市美術館!
ペコちゃんは大好きだけどマニアではないので充実度などはわからないけれど、個人的にはとても楽しい中身だった。これで、甘~いミルキーの匂いが漂っていたりなんかしたら、もう最高だ(笑)。
と思ったら、こんなワークショップがあった!



ポッケにてを突っ込んでいるモデルがいくつもあった。けっこうやんちゃだったんだ。




ペコちゃんに囲まれる幸せを体験できる。




ペコちゃんをモチーフにさまざまなアーチストが作品を制作。一番上の絵画も。




なんと、伊勢佐木町にあった不二家のビルはアントニー・レイモンド作。設計図まで展示されている(これだけは撮影不可)。

とにかく訪れている人がみんな笑顔になっちゃう。そんなすてきな空間だった。
9/13(日)まで。
今週末からは「写真家 濱谷浩展」も同時開催。

ほぼ自画像展

2014-04-17 21:38:50 | ぶらぶらミュージアム散歩


初めて見たのは何かのポスターか、それとも「Number」誌上でか。
なんともいえない顔つきに引き込まれてしまう石田徹也氏の作品である。

去年、足利市立美術館で開催された展覧会がNHK「日曜美術館」で紹介されていたが、それが平塚市美術館にまわってきた。
その『石田徹也展 ノート、夢のしるし』を観てきた。
タイトル通り、ノートやスケッチブックに描かれたアイデアや下絵が配置されているところも見どころ。

悲しいのか、楽しいのか、つらいのか、痛いのか、幸せなのか、不安なのか・・・
もうまったくわからないけど、とにかくおもしろかった。
なにしろこんなに大量(110点)の石田氏の作品の中に身を置くことは初めて。それだけでも興奮する。

もう1回、行っちゃいそうだなぁ。

とりあえず来週末(4/25FRI)午後8:00~『ぶらぶら美術館・博物館』を見てみよう。

湯河原洋館殺人事件

2013-11-06 20:24:49 | ぶらぶらミュージアム散歩


上流に向かうにつれ、やがてその川の両岸には宿が建ち並び、昔ながらの温泉郷のにぎわいとなる。そんな川沿いの道に2軒の洋館が建っている。私は導かれるようにそのうちの1軒の扉を開けた。

エントランスに足を踏み入れたとたん、異様な光景に立ち尽くす。つい今しがたまでそこには死体が横たわっていたとみえ、鮮やかな血痕も残っている。これはとんでもない事件に遭遇してしまったようだ。

「こちらへどうぞ」
この館の使用人に見える30代半ばの女性に2階へと案内される。階段にも点々と血痕は続いていた。この事件はどうやら2階の部屋にも重要な鍵が残されているに違いない。
2階奥の間には館の主が綴ったという500冊ほどの書籍、その関連資料などが整然と置かれている。そして、部屋の中央に置かれたジオラマの中に、今回の事件のヒントが隠されているのだった。







湖畔、海岸、倉庫などでの殺人現場が生々しく再現されている。しかし、いずれもすでに警察が駆けつけたあとで、犯人の姿はない。これから現場検証が始まるようだ。
おっ、今やってきたあの人は・・・

十津川警部ではないか!
あちらには探偵の左文字さん!

なぁんだ、ここは湯河原にある『西村京太郎記念館』だった。2軒並んだ洋館のお隣は、先生のご自宅ですね。ご本名の表札が見える。

僕は西村氏の作品は「湘南アイデンティティ」と「鎌倉江ノ電殺人事件」という、いずれも地元ネタとして2冊読んだだけだが、テレビのサスペンスではよく見ている(笑)。だから、湯河原を歩いていて、不意にこの館が目の前に現れたとき“導かれて”入館してしまったというわけだ。
コンパクトな展示スペースではあるものの、きっとファンにはたまらない空間のはず。日曜日の午後には西村氏がやってきてサイン会を行うとのことだ。もちろん書籍を購入が前提だと思うけど、すごいサービスですね。

入館料は「800円です」と使用人、いや記念館スタッフに言われ、最初は正直そんなにするの?と思ったのだが「お帰りの際にこちらの喫茶室でコーヒーか紅茶をお飲みいただけます」とのことで、急にお得な感じがしてきて(笑)入館。かなり歩いていたので、ちょうど一息つきたかったんだよね。
で、喫茶室に着席すると「プラス900円で先生のサイン入りのカップがお持ち帰りできますが」とのお誘いもある。ファンの方はぜひ。



横を流れる千歳川と色づき始めた木々を眺めながらのコーヒーはとてもおいしく、ファンでなくてもけっこう楽しめる。後から入って来た熟年グループが「え~、800円?」と聞いて帰っていくシーンを目撃したが、ドリンク付きを強調したら印象がぜんぜん違ってくると思うけどなぁ。ん~、この問題も、先生、すっきり解決してください。

ぶらぶら博物館ハシゴ

2013-02-26 20:39:17 | ぶらぶらミュージアム散歩


県立歴史博物館で特別展「観光地鎌倉と鎌倉彫~近代鎌倉のガイドブック」を、横浜都市発展記念館 で「ベースボールシティ横浜~ハマと野球の昭和史」を見てきた。ハシゴです。

鎌倉の方は、先日高徳院で見せていただいた写真が並んでいたり、豊島屋の「鳩サブレー」の缶や型が展示されていたり楽しい。
そして、なんといってもテーマにもなっている「ガイドブック」だ。観光地として発展を始めて以来のガイドブックや地図がずらり。どの時代の地図を見ても、幕府として最適だったという三方を山に残る一方を海に囲まれたロケーションは、観光にも最適だったことがよくわかる。狭いエリアにいろいろな要素がギュッと詰まっているのだ。絵地図になると、もう遊園地みたいな騒ぎである(ホントはそうじゃないんだけどね)。
今でこそ全国各地のガイドブックが揃うけど、江戸時代の終わりからこんなにたくさんのガイドブックや地図が作られていたのは鎌倉ぐらいではなかったのではないか。

それから、展示場の後半は「鎌倉彫」になるんだけど、これはちょっと「?」だったな。いや、飾られている鎌倉彫自体は素敵なんだけど、今回の展覧会にセットされた理由が弱い感じ(笑)。



さて、次は「ベースボールシティ横浜」だ。こちらは、横浜市民ならワクワクし通しで見終えること間違いなし!
横浜公園球場~横浜スタジアム、甲子園で活躍した高校、大洋~横浜のあらゆる資料を見ることができる。もちろん、生まれる前のものから、子供の頃、若い頃に体感した、つまり昭和の野球がよみがえってくる。桐蔭学園、横浜高校、横浜商業(Y校)の資料、平和球場、大洋ホエールズの湘南カラーのユニフォーム、横浜スタジアムのオープニングと横浜大洋ホエールズのスマートなユニフォーム・・・懐かしくて懐かしくて、一人で興奮していた(笑)。

ま、ただ2館とも、興味のない人にはまったく響かないという、面白い特別展だったことは確かである(笑)。


横浜スタジアムのバックネット裏席最上段に!

快感美術館

2012-04-24 23:39:30 | ぶらぶらミュージアム散歩


実は以前にも訪れたことがある。ちょうど開館したころだったので、10数年も前のことだ。
『海岸美術館』は、千倉が気に入った写真家の浅井慎平氏の個人美術館。別荘は海岸線にあると聞くが、美術館はなんと人里離れた山の中、池の畔である(笑)。

ところが、このシチュエーションがなかなかいい。とにかく静かで、聞こえてくるのは風がわたる音や鳥のさえずりぐらい。
そして、誰もいない。いや、スタッフが3名いたが、先客が帰るところで、その後の客は僕たち2名であった。二人占めである。おっさん二人だったのが、誠に残念(笑)。
でも、吹き抜けの大空間で気兼ねなく過ごせるのは素晴らしいぞ。何しろ声が響くから、他にお客がいたら会話もはばかれるのだ。これで、コーヒーでも出してくれたらいうことないね。


磨き込まれた木の床は、10数年前と変わらない独特の匂いを発している。

そうそう、中は温かみのあるウッディなイメージだが、実は外観は重厚なコンクリート造りに見える。道路から池の向こうに姿を現す瞬間は、ちょっとした衝撃を受ける。まるで「要塞」のようだから。






さて、その建物の奥には山の斜面まで庭が広がっている。散策路やベンチも設けてあり、ゆっくり楽しむことができる。この裏庭や道路からのアプローチを含めての『海岸美術館』ではないかと感じた。
10数年ぶりに素敵な美術館を満喫したが、あれあれ? 肝心の写真の印象が薄かったなぁ。



10数年どころじゃなかった、さっき出てきた写真を見たら、息子がまだこんなに小さかった。ってことは、20年くらい前だ!