あゝ結婚(1964)
1964年/アメリカ
S・ローレンの魅力を堪能できる人情喜劇
shinakamさん
男性
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 85点
演出 85点
ビジュアル 80点
音楽 80点
イタリアの巨匠ヴィットリア・デ・シーカ監督、ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニの黄金トリオ2作目の人情喜劇。前年「昨日・今日・明日」1話で逞しいナポリ女ぶりを見せたローレンがさらにしたたかな女を演じ、ラヴ・コメとは一味違うコメディとシリアスなドラマが混在するストーリー。貧しさゆえ17歳で娼婦となったフィルメーナと女好きな放蕩息子ドメニコの22年間を描き、S・ローレンの女優としての魅力がタップリ堪能できる。
冒頭フィルメーナが過労で倒れ男たちに家へ運ばれドメニコが駆け付けるシーンがいかにもナポリ的。医者を呼ぼうとするドメニコにフィルメーナは神父を呼んでくれという。
ここでドメニコが回想する。出会いは戦時中爆撃に遭って怖くて震える17歳。終戦後店のNO.1となって再会した19歳で同棲。フィルメーナは実家で母親の介護をさせられ、菓子店の経営まで任され使用人同様の扱いを受けるが、ドメニコは家に寄り付かず、たまにふらりと戻るだけ。おまけに店の若い娘と結婚しようと目論んでいる。
どう考えてもドメニコは分が悪い。身勝手で男のずるさと、どこか哀れで滑稽なイタリア男を演じたマストロヤンニの面目躍如。
フィルメーナは仮病で、神父を呼んだのは結婚詐称だった。ここで彼女の回想が場面転換となり、驚きの?真相が明らかになってゆく。いままで100%同情していたフェルメーナの打算的なしたたかさに、同情というより女の強さを色濃くした生命力を感じる。
いままで泣いたことのない女が「幸せでないと泣けない」というS・ローレンは、自身の生い立ちを重ねていたのかもしれない。
黄金トリオが6年後、名作「ひまわり」を誕生させるが、本作もなかなか味わい深い作品である。
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