晴れ、ときどき映画三昧

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「あなたの旅立ち綴ります」(16・米 )70点

2018-07-15 11:48:08 | 2016~(平成28~)

・ S・マクレーンが主人公にオーバーラップするハートフル・コメディ




<終活>をテーマにした作品には心温まるコメディが多いが本作もそのひとつ。

「アパートの鍵貸します」(60)、「愛と喝采の日々」(77)、「愛と追憶の日々」(83)を始め、今日までコンスタントな活躍を続けている大女優のシャーリー・マクレーン。
彼女をイメージして書き起こしたスチュアート・ロス・フィンクの脚本を「隣人は静かに笑う」(98)のマーク・ベリントン監督で映画化。

広告エージェンシーを長年経営していた81歳のハリエット・ローラーは、新聞で訃報記事を目にしてふと自分の場合はどう書かれるのだろうか?と気になる。
何でも自分でやらないと気が済まないハリエットは地元の新聞社を訪ね、訃報記者アン・シャーマン(アマンダ・セイフライド)に<最高の訃報記事>を委ねる。

S・マクレーンと若手女優A・セイフライドが反発しながらも、最高の訃報記事を満たすための4つの条件を追ううち、世代を超え友情を育んで行く。

家族・友人に愛されたか?同僚から尊敬されたか?を彼女なりに反芻するハリエット。思いがけず誰かの人生に影響を与えるにはコミュニティセンターで暮らす9歳のブレンダを手元に置くことにする。
ハリエットがアンとブレンダを伴い何年も逢っていない娘エリザベス(アン・ヘッシュ)を訪ねるシーンは、微笑ましいエピソードのロード・ムービーとなる。

最後の訃報の見出しになるような人々の記憶に残るワイルド・カードが難問だったが、ハリエットはアナログのラジオDJを選ぶ。
あまり知られていないロックミュージックを選んでタイムリーに流す監督のセンスと、ネイサン・マシュー・デービットの音楽が心地よい。

不治の病である心臓病を抱えながら湖で泳いだり、世代を超えた疑似家族が安らぎを与えるなど多少無理な設定にも関わらず、<失敗を恐れるな>というS・マクレーンの心に残るメッセージが印象的。

アンとロビン(トーマス・サドスキー)があまりにも早く恋人同士になるのが不自然な気もしたが、この共演で再会・結婚して子供も生まれたので<事実は小説より奇なり>ということか?

女性が社会で成功するのが現在とは比較にならないほど難しかった60年代。激しい広告業界で会社を経営していたハリエットの生き方は、S・マクレーンの歩んできた人生とオーバーラップしているようだ。


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