晴れ、ときどき映画三昧

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「シャレード」(63・米) 80点

2015-02-07 08:29:51 | 外国映画 1960~79
 ・ 50年経っても色褪せない、オードリーのロマンチック・ミステリー

                    

 スキー場からパリの自宅へ帰ってきたレジーナ(オードリー・ヘプバーン)。離婚をしようと思っていた夫が不在で、家財道具が売り払われ何もなかった。

 そこにいたのはグランピエール警部(ジャック・マラン)で、夫は列車から突き落とされ死亡したので遺体確認して欲しいという。 

 007シリーズのタイトルとヒッチのサスペンスを想わせるシーンで始まるこの作品。タイトルデザインは「007シリーズ14作」を担当したモーリス・ビンダーで、監督はミュージカルの巨匠・スタンリー・ドーネン。

 夫が残した遺品はバッグひとつだけ。途方に暮れたレジーナのもとへ現れたのは、スキー場でナンパしようと近寄ってきたピーター(ケーリー・グラント)だった。

 葬儀会場に現れた見知らぬ3人の男とピーター。米国大使館の情報局長バーソロミュー(ウォルター・マッソー)からは軍資金25万ドルを横領していたと知らされる。

 <ヒッチが撮らなかった最もヒッチらしい>作品と言われた連続殺人事件を巡っての25万ドル争奪戦は、ヒッチよりコミカルでロマンチックなミステリー。50年経っても色褪せていないのはオードリーの魅力を存分に活かした作りだから。

 殺人事件が起きても恐怖感を感じないのは、オリバー・ゴールドスミスのサングラスにジバンシーの衣装を次から次へと纏ったオードリーのファッション・シーンに目を奪われてしまうためか?
 可憐な美しさは健在だが、30代半ばで大人のエレガントさが加わって、さらに魅力的なオードリー。

 相手は御歳59歳のケーリー・グラントが、名前を何度も変える謎の人物としてボディ・ガード役を務めている。25歳の差を感じさせないウィットに富んだ台詞と身のコナシは健在だ。

 さらにW・マッソー、ジェームズ・コバーン、ジョージ・ケネディ,J・マランという個性豊かな脇役陣が取り囲み、オードリーをハラハラ・ドキドキさせようとする。

 名手ヘンリー・マンシーニ音楽のせいか、ピーター・ストーン脚本のせいか、ドーネンの演出はまるでパリを舞台に駈けまわるミュージカルのような楽しさでハラハラ・ドキドキ感はない。

 25万ドルの行方は一工夫あって、最後のオチは読めてしまうがそれを含めて面白い。

 女性でなくても楽しめる善き時代のロマンチック・ミステリーだ。

 
 


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