・ 意外なテイストに戸惑いつつ、深刻ぶらない戦争アクション。
「荒鷲の要塞」(68)に次いで、ブライアン・D・ハットン監督、クリント・イーストウッド主演の戦争アクションもの。前作がスパイ・アクションだったのに対し、どちらかというとブラック・コメディ風。
ヨーロッパ戦線連合軍の脱落者たちが、ドイツ軍の隠した金の延べ棒を略奪しようとするストーリーは荒唐無稽ながら、戦争シーンは意外にもリアリティがあって深刻ぶらない戦争アクションに仕上がっている。
とくにマニアからはドイツ軍のタイガー・タンク、米軍のM・シャーマン戦車の登場が評価が高いようだ。
C・イーストウッドがコメディ?というミスマッチと思われる意外なテイストと、両脇を固めるテリー・サラヴァス、ドナルド・サザーランドのベテラン2人のそれぞれの味わいがミックスして、144分の長さにも拘わらず最後まで楽しめた。
C・イーストウッドはマカロニ・ウェスタン2作でハリウッドに復帰、「ダーティ・ハリー」シリーズでブレイクする間の作品。相変わらずの渋面だが、元中尉で誤った命令から味方を攻撃したことで2等兵に落とされたケリー役がイメージどおりで、ラロ・シフリンの音楽が盛り上げる。
その上司がT・サヴァラス扮するビッグ・ジョー曹長で、手柄を立てても横取りされてしまい不満を抱いている。合流するのが壊滅した戦車隊員のD・サザーランドが演じるオットボール曹長。
ウマが合わない2人だが、愛国心より金の延べ棒を私物化するという目的は一緒。他にも戦闘経験のない主計担当曹長・ハスラーなどが、金の延べ棒を隠している小さな村の銀行目指し進撃して行く。
途中味方の爆撃で壊れた橋や地雷爆弾を仕掛けた場所などがあり、スペクタルとリアリティ・シーンの戦車の登場まで、変わり者の兵士たちが繰り広げるストーリーは一種ゲーム感覚という風情。
そういえば日本でも岡本喜八の<愚連隊>もの、勝新の<兵隊やくざ>ものなど、ヒット・シリーズ作品があったのを想い起こした。
本作はシリーズにはならなかったが、こんな呑気な戦争アクションはその後見当たらない。その意味では貴重な作品といえる。
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