・R・ゼルウィガーの出世作で、C・クロウ、T・クルーズの代表作?
アメリカの4大スポーツを始めとするスポーツ・ビジネスを陰で支える存在のスポーツ・エージェントに注目して、3年掛かりで取材して書き上げた脚本を自ら監督したキャメロン・クロウの王道を行くサクセス・ストーリー。その実態に迫るシリアスなモノではなく、理想に燃えたエージェントが挫折しながら本当に大切なこと(選手への愛と信頼)を知って行くハートフルな造りで、主人公のラブ・ストーリーが絡んで行く。
主演のジェリー・マグワイアに扮したのはトム・クルーズ。SMIの中でもピカイチのエージェントで72人のマネジメントを取り仕切っていた。NHLのスターが怪我で入院、家族の前で復帰を励ます姿は息子には守銭奴にしか見えなかったらしく、「人殺し!」のひと言にショックを受ける。
高額な報酬のみを追求する会社に疑問を抱き提言するが、あっさりとクビになってしまい恋人エイヴリー(ケリー・プレストン)から負け犬呼ばわりされる始末。
提言書に共感したのはシングルマザーの会計士ドロシー(レニー・ゼルウィガー)のみ。それも一目惚れのほうが優先している。72人中契約が継続できたのはNHLのロッド・ティッドウェル(キューバ・グッテンJr.)のみ。カレッジ・フットボールの大スター、フランク・クーシュマン(ジェリー・オコンネル)との契約も元年下の同僚ボブ・シュガー(ジェイ・モア)に浚われてしまう。
スポーツ・エージェントの元祖ディッキー・フォックスがトキドキ登場して発言するとおり、<この仕事の原点は、選手との人間関係だ><愛がなければ売り込みは成功しない><心が空っぽなら頭は無価値>に沿って、たった一人のロッドとの信頼関係をもとに孤軍奮闘するジェリー。
一見単純なテーマ設定を家族愛や友情を絡め心温まるラブ・ストーリーへ昇華させてゆくC・クロウの手腕が見事に実を結んだ作品。オスカー作品・脚本・主演男優・助演男優・編集の5部門にノミネートされている。自信過剰で傲慢なフットボーラーだが、家族想いでしかも友情に厚いロッドを演じたC・グッテンJr.が助演男優賞を獲得した。
元ローリングストーン誌の記者でビリー・ワイルダーを敬愛するC・クロウは音楽の使い方も長けているし、脇を固める人物描写も丁寧で彼の代表作といえる。そして数々のヒット作で主演してきたT・クルーズにとっても代表作のひとつだろう。
ヒロイン・ドロシーを演じたR・ゼルウィガーの出世作でもある。ぽっちゃりした唇と可哀そうな泣き顔がトレードマークで、健気な苦労人を好演した本作を機にスターダムへ上って行く。
138分の長さを感じさせない熱い映画だった。
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