晴れ、ときどき映画三昧

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「アフター・ウェディング」(06・デンマーク) 80点

2015-03-08 08:05:19 | (欧州・アジア他) 2000~09

 ・ スサンネ・ビネの巧みな人間描写が光る。

               
 デンマークの才女、スザンネ・ビネ監督が「しあわせな孤独」「ある愛の風景」に続く<生きることとは?>をみつめた珠玉の’07オスカー外国語映画賞ノミネート作品。

 インドで孤児救済に生き甲斐を見つけているヤコブ(マッツ・ミケルセン)は、デンマークの実業家ヨルゲン(ロルフ・ラッセゴード)の資金援助条件に面談するためコペンハーゲンにやってきた。

 ヨルゲンの娘アナ(スティーネ・フィッシャー・クリステンセン)の結婚式に立ち会い、思いがけなく元恋人でその母・ヘレネ(シセ・パベット・クヌッセン)と20年振りに再会する。

 物語は、一見良くあるメロドラマのような展開を見せるが、ヨルゲンが何故多大な寄付をしてまでヤコブを呼び寄せたかが分かるにつれて、サマ変わりしてくる。

 脚本のアナス・トーマス・イエンセンの上手さもさることながら、S・ビネ監督の人間描写の見事さがヒトキワ光っている。ハンディカメラでの映像、目や顔のアップ、自然光のリアルさを駆使して惹きつけて行く。

 M・ミケルセンは「007カジノロワイヤル」での悪役・ル・シッフルでお馴染みだが、孤独な男に潜む、家族の絆を求める難しいを好演。特筆べきはR・ラッセゴードで、傲慢ななかにひたすら家族を想う男の切なさを演じて見せた。

 いまや豊かな国に変貌しようとしているインド。厳然としてある貧富の差とともに、ヤコブとヨゲルセンの慈善行為は複雑で、必ずしも動機は純粋なモノではない。だが、アナの夫以外、登場人物は間違いなく家族愛に満ちていて、そこに救いがある。

 冒頭とラストシーンに流れるシガー・ロスのテーマ曲が温かく、現実の矛盾を癒してくれる。


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