晴れ、ときどき映画三昧

「サンジャックへの道」(06・仏) 75点


 ・ 9人の男女が織りなす、自分探しの旅。

                    
 コリーヌ・セロー監督が、巡礼の旅を通して人種や地位を超えた視点で描くヒューマン・ドラマ。

 3人の兄妹、会社経営者でストレスをクスリで紛らわすピエール(アルチュス・ド・パンゲルン)、頑固な高校教師クララ(ミュリエル・ロバン)、アルコール中毒が原因で孤独な文無しクロード(ジャン・ピエール・ダルッサン)は、母の遺言による遺産相続が目的の不本意な旅に出る。

 仏ル・ピュイからスペインのサンディアゴ・デ・コンポステーラ1500Kmを旅するあいだ、男女9人の織りなすさまざまな人間模様が面白い。

 亡くなった母親は、3人の仲が悪いのを心配してこの遺言を残したのが分かる。動機は不純でも、美しくときには過酷な自然・母なる大地に包まれ、3人の心が打ち解けて思いやりのある絆を大切にする人間になって行く。

 ガイドのギイ、物静かな女性マチルド、楽しい山歩きと勘違いした女高生・エルザとカミーユ、アラブ系で従兄弟同士ノサイッドとラムジーも、新生活を再発見するキッカケの旅となる。

 観終わって、心温まる作品だが、もしも続編があれば、また新しい悩みが予見できそうなエンディングである。

 アントワーヌ・フォンテーヌの幻想的な美術、電子音とバロック・ハウスミュージックをフンダンに取り入れたユーグ・ル・バーグの音楽が、9人の心の変化を巧く捉えられていて、より効果を生んでいる。
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