モンタナの風に抱かれて
1998年/アメリカ
詩情あふれる大自然を舞台に馬と人間の再生を謳いあげる
shinakamさん
男性
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 85点
演出 80点
ビジュアル 90点
音楽 80点
「リバー・ランズ・スル-・イット」で'20年代モンタナの美しい自然を描いたロバート・レッドフォード監督が、再び詩情あふれる大自然を謳いあげる2時間47分の人間ドラマで、今回は出演もしている。ニコラス・エヴァンスの原作「ホース・ウィスパラー」を、「フォレスト・ガンプ」のエリック・ロスと「マジソン郡の橋」のリチャード・ラグラヴェネーズが共同脚本化した。「ホース・ウィスパラー」とは<馬を癒す能力のあるひと>のこと。
N.Y.暮らしのマクレーン一家の一人娘・グレース(スカーレット・ヨハンソン)は愛馬ピルグリムに乗って事故に遭い片足切断、愛馬は暴れ馬となってしまう。雑誌編集長の母アニー(クリティン・スコット・トーマス)は、休みを取ってホース・ウィスパラーのカウボーイ・トム(R・レッドフォード)が住むモンタナへ、強引に娘と馬を連れて行く。これは、傷ついた娘と愛馬の心と体を癒すドラマだが、同時にマクレーン夫婦の人生を見直す旅でもあった。
とにかく丁寧でストーリーに手抜きがない。その分間延びしてしまったともいえるが、大自然と馬を美しい映像でたっぷりと写し、観客を癒してくれる。
R・レッドフォードはモンタナの風土と馬をこよなく愛しているのが画面から溢れ出ていて、相変わらずの自己陶酔部分が気になるが、彼の持ち味がよく出ていたので善しとしたい。C・S・トーマスはエリートのキャリア・ウーマンを毅然と演じながら、母であり女である迷える女性をそこはかとなく醸し出して好演。さらに芸域を拡げている。娘役はいまをときめくS・ヨハンソン。多感な少女の心のうちを表情ひとつで使い分ける多才ぶりを発揮している。ほかにも優しいが自信のない夫にサム・ニールやダイアン・ウィースト、クリス・クーパーののちのオスカー俳優が夫婦役で共演し、朴訥で人間味溢れる会話が醸し出されている。何より素晴らしかったのは愛馬プルグリム。1頭だけではできなかったと思うが、このドラマには欠かせない迫力ある暴れ馬から人に寄り添う素直な馬まで、幅広い役割を映像で魅せてくれた。
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