アウトロー(1976)
1976年/アメリカ
建国200年記念に相応しい?
shinakamさん
男性
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 85点
演出 80点
ビジュアル 85点
音楽 75点
フォレスト・カーターの原作をクリント・イーストウッドが監督・主演する西部劇。建国200年記念というだけあって、南北戦争末期のミズーリ・カンザスを舞台に孤独のガンマンが出会ったさまざまな人々との関わりを描いている。
俗に言うマカロニ・ウェスタンで再生したイーストウッドにとって西部劇は帰郷するようなもの。この年は<ダーティ・ハリー3>でスター入りしていたにも関わらずこの作品は「荒野のストレンジャー」以来の西部劇で思い入れも深い。「シェーン」を敬愛するだけあって孤独なガンマンはまさにはまり役だが、今回はひとり旅ではない。
妻子を北軍ゲリラ部隊長に殺され家を焼かれた男が南軍に加わったが、終戦。部隊長に復讐するために旅を続けるうちにお尋ね者として追われるハメになる。北軍や賞金稼ぎに命を狙われながら、先住民や開拓移民など旅の途中で連れが増えて行くのが面白い。女や犬まで、まるで家族の大移動である。
アリゾナ・ユタ・カリフォルニアと大規模なロケを重ねた風景を背景に情緒たっぷりに映像を重ねて行く手法はイーストウッド作品には欠かせないが、大画面に映る人間の小ささも伝わってくる。
脚本はフィリップ・カウフマンとソニア・チャーナスで丁寧な構成はさすがだが、少し冗長になってしまったのが残念。イーストウッドらしい無駄のないテンポの良さがまだ見られないのは脚本に忠実だったからだろうか?
顔に切り傷がありビーフ・ジャーキーを噛みながら茶色のつばを吐く主人公ジョージ・ウェールズは確かに「アウトロー」の風貌だが、仇の部隊長テリル大尉を殺すことで目的は果せる。つい関わりを持ってしまうヒーローはどこか<木枯らし紋次郎>的だ。
先住民チェロキー族のローンはワシントンでリンカーン大統領へ直訴したという。北軍に味方したコマンチ族のテン・ベアーズは本当の男を信用する義侠心のある男で2人の先住民は敵役ではないところが如何にも記念映画らしい。
農民だった男が早撃ちのガンマンだったり、銃をもったことのない女・年寄りが騎乗している男たちを射殺したり、西部劇ファンには不自然な銃撃戦もあるが、そこは目をつぶってアメリカの歴史の1ページを懐古してみたい。ラスト・シーンは西部劇では大切だが、男の友情が滲み出る爽やかなエンディングで心地良い。
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