晴れ、ときどき映画三昧

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「君の名前で僕を呼んで」(17・伊/仏/米/ブラジル)70点

2018-09-29 13:35:23 | 2016~(平成28~)

・ 北イタリアの避暑地で起きた普遍的なラブ・ストーリー。




80年代の北イタリア・クレマを舞台に、17歳の少年と24歳の青年によるひと夏のエピソードを描いたラブ・ストーリー。
アンドレ・アシマンの原作を「眺めのいい部屋」(86)「モーリス」(87)「日の名残り」(93)などのジェームズ・アイボリーが製作・脚色、監督は「ミラノ、愛に生きる」のルカ・グァダニーノ。
「インターステラー」のティモシー・シャメラ、「ジャコメッティ最後の肖像」のアーミー・ハマーが出演。オスカー作品賞など4部門ノミネート、脚色賞を受賞している。

とても不思議な題名だが原作の直訳で、本作ならでは成立しないいわゆるLGBTジャンルの作品。

名作「ベニスに死す」(71)同様、正直頭では理解できるが、何分感情がついて行かない。

昨今美少年が登場する同性愛物語が若い女性中心に広まりつつあるようで<BLもの>と呼ばれているそうだが、本作もその流れで歓心を呼んでいるのかもしれない。

父が考古学の大学教授、母が翻訳を生業にしているエリートの両親とともにクレマ郊外で暮らすエリオ(T・シャメラ)。
父が招いた助手オリバー(A・ハマー)は「後で」が口癖のマイペースで自信家な大学院生。

オリバーをエリオはガールフレンドに<侵略者>と呼び、母に<嫌いかも>というが気になる存在だ。

そんな二人のぎごちなかった距離感が徐々に近づく様子が丁寧に描かれる本作は<ひと夏の恋物語>で、映画・小説のプロットとしては数限りなくあってまさに普遍的なストーリー。

違うのは両親など周りの理解があること。「誰よりも知識がある」と褒めるオリバーに「大事なことは何も知らない」と告白するエリオ。デリケートな恋は急速に進んで行く。

80年代のファッションと北イタリアの風景・街並みが物語に溶け込んで、自然光のフィルム撮影が二人を包んで美しい。

アイボリーが望んだ全裸のベッドシーンは採用されなかったが、緻密なシナリオと監督の淡く切ない恋をきめ細かく描く力量で充分カバーされている。

美少年シャメラは3分半に及ぶエンディングのアップで確かな演技力を実感、大スターの道を歩み出した感がある。

二人が数年後再会する続編が企画されているが、失敗作にならないよう祈っている。







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