晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
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『南極料理人』 75点

2011-11-01 14:11:28 | 日本映画 2000~09(平成12~21)

南極料理人

2009年/日本

当たり前の生活の幸せ

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★☆☆70点

ビジュアル ★★★★☆75点

音楽 ★★★★☆75点

西村淳のエッセー「面白南極料理人」を映画化。沖田修一の監督デビュー作品でもある。
西村を演じた堺雅人をはじめ個性的な俳優を揃え、極限の世界で暮らした8人の男達1年半の物語。
昭和基地から1000km離れた氷雪以外何もないところで観察を続ける研究者をサポートするために海上保安庁から派遣された料理担当の西村。仕事とはいえ家族を残して1年半3食食事を作るという過酷な運命をどう受け止めてどうこなしたか?が独特のユーモアを交えエピソードを綴ってゆく。
映像で欠かせないのがその臨場感。ロケ地は北海道だったが零下50度を超える寒さや基地の建屋は本物のお墨付きだったようだ。
麻雀・ビデオ・卓球・氷上野球などの娯楽や誕生会などの記念日で癒す日々だが、最高の楽しみは何と言っても3度の食事。人間辛いトキには食の好みに偏りがあるらしく、タイチョー(きたろう)はラーメン命だし盆さん(黒田大輔)はバターを盗み舐めをする。日本のおじさんはイクラのおにぎり、海老フライ、ラーメンがごちそうで、フレンチのフルコースは似合わない。フード・スタイリストの飯島奈美が腕をふるった料理の数々は「かもめ食堂」「めがね」に負けずおいしそう。だが男たちはTVの料理番組のように美味いを連発しないで黙々と食べるのだ。
男たちには日本での生活があって妻子や恋人を残してここにきている。電話やFAXでしか通信手段がないちょっと前のコミュニケーションが妙に切ない。そして当たり前の家族との普通の暮らしがどんなに大切かを教えてくれる。
堺雅人の飄々としたなかに男の悲哀が見え隠れする今の父親像がとてもリアルだ。奥さんとケンカ中の生瀬勝久、南極の居心地が良くてバーをつくってカクテルに腕を奮うドクター豊原功輔、恋人にフラレ凍死しようとする高良健吾など男たちのエピソードが続くがむさ苦しくないのは極寒のあまり無菌状態の環境のせいか?
髭だけが時間の経過を教えてくれる。髭を剃って家に寝転びTVを観ているお父さんがどんなに偉大かを妻も娘も知らない。日本の男たちへの応援歌である。



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