・ ファンには味わい深い<最後のマカロニ・ウェスタン>。
「怒りの荒野」(67)のトニーノ・ヴァレリ監督というよりセルジオ・レオーネ原案、製作総指揮として名高い<最後のマカロニ・ウェスタン>であるとの印象が深い。
伝説の老ガンマンと謎の風来坊が登場するこのドラマはウェスタン好きには味わい深く、西部のアウトローへの挽歌でもある。
老ガンマン・ジャック・ボーレガードには正統派ヘンリー・フォンダ、風来坊ノーボディには甘いマスクでとぼけた味のテレンス・ヒルが扮し、エンニオ・モリコーネの音楽とともにドラマが進行する。
「荒野の用心棒」(64)で火をつけたイタリア製西部劇を、米国ではスパゲッティ・ウェスタンと呼ばれたマカロニ・ウェスタンの元祖S・レオーネ。
そろそろ終焉を迎えようとしていた頃、T・ヒル主演の「風来坊」シリーズが大ヒット。その喜劇性に疑問を持ち侮辱されたのでは?という思いから本作を考案したという。
監督したT・ヴァレルは、パロディを随所に織り込みながらクールでスタイリッシュな二人の位置づけをブラシュアップして撮影に挑んでいる。
序盤ではサム・ペキンパーへの皮肉を込めたハイスピードでの射撃シーンやワイルドバンチが登場、墓標にはS・ペキンパーの名まで・・・。
最大の見せ場は口笛とともに流れる「ワルキューレの騎行」をモチーフとしたテーマソングで現れた150人のワイルドバンチとジャック一人の対決。それを汽車から見つめるノーボディ。
さらにジャックとノーボディの決闘へと続くラストシーンは意外な終結を迎え、伝説のガンマンは不滅となった。
かなり完成度が高く評判も良かったが、レオーネへの賛辞が高まったためヴァレリにとっては不本意な結果となってしまった作品でもある。
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