晴れ、ときどき映画三昧

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「レヴェナント 蘇りし者」(15・米) 80点

2016-05-05 18:04:38 | (米国) 2010~15

 ・ <生きることの意味>を映像のパワーで迫ったイニャリトゥ×ルベツキ×ディカプリオ。

                   

 建国間もない米国北西部を舞台に、狩猟ハンターが瀕死の重傷を負いながらサバイバルの旅を通じて観たものは?

 レオナルド・ディカプリオが4度目のオスカー・ノミネートで初の栄冠、アレハンドラ・G・イニャリトゥ監督が2年連続、エマニュエル・ルベツキ撮影監督が3年連続受賞した強力トリオに加え、坂本龍一音楽を担当した話題作。最新設備の映画館で観るべき映画だと思い久しぶりシネコンで鑑賞。

 主人公は伝説のハンター、ヒュー・グラスで、ネイティヴ(ポーニー族)の妻との間に生まれた息子とヘンリー狩猟隊チームのもとでナビゲーターを務めていた。

 途中、グリズリー(ハイイロクマ)に襲われ瀕死の重傷を負い担架で運ばれるが、介護役のフィッツジェラルドに置き去りされたうえ、息子まで殺されてしまう。

 奇跡的に命を執り止めたグラスは、復讐の執念を胸にサバイバルの旅が始まる・・・。

 ときには静寂で美しく、ときには恐ろしいほど荒々しい大自然。突然のネイティヴ(アリカラ族)による矢の襲撃・銃の音・熊との格闘などなど・・・圧倒的な映像のちからに心を奪われる映画だ。
 
 予定より大幅に製作期間を掛け、夜明け・夕暮れの逆光が映えるマジック・アワーで撮影した映像は、それだけで大自然の偉大さを物語っている。

 大自然で生きる白人(アメリカ人フランス人)、ネイティヴ・アメリカン(アリカラ族・ポーニー族)たちの人間模様を背景にちらつかせながら展開するサバイバルの旅は、音が吸収されるモノトーンの景色が過酷で壮絶なものにする。

 グラスは原始の暮らしのような生肉・雑草・生魚を喰らい、火で傷跡を焼き、内臓を取り出した馬の皮の中で暖を摂る。ベジタリアンのディカプリオは吹き替えなしでやり遂げ栄冠を手にしたが、ここまで執念を燃やしたのは<環境に関心を払う彼の心情>に本作がマッチしたからだろう。

 共演したトム・ハンターは「インセプション」(10)で共演したディカプリオの推薦によるもの。敵役だが金に執着する実に人間的な儲け役で、台詞の少ないディカプリオを向こうに廻し終盤まで緊張感を持たせる役柄を好演している。

 ヘンリー隊長のドーナル・グリーンソン、若者ブリジャーのウィル・ポールターなど旬の俳優、本作がデビュー作の息子・ホーク役フォレスト・グッドラックなどが脇を固めてそれぞれが適役。

 グラスを襲った熊は子供を守るため、グラスは愛する息子の復讐のため、それぞれ闘うのも皮肉なことだし、グラスを救ったポーニー族の男を白人が縛り首にするシーンも残酷。

 長旅で妻の顔も思い出さないという隊長に比べ、グラスは亡くなった妻の姿を観たのが救いだろうか?

 緊迫感溢れる映像とともに、<生きることの意味を絶えず問いかける>ような、一筋縄では行かないサバイバル・ロードムービーだった。
 


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1 コメント

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Unknown (a-applemoon)
2016-05-12 21:39:43
tbさせていただきました!
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