・ D・クルーガー渾身の演技による復讐ドラマ。
突然の爆発事故で、愛する夫と息子を失った主人公の女性が憎しみと絶望のなか下した行動は?
<愛・死・悪に関する三部作>など、欧州での三大国際映画祭で賞に絡んだドイツの若手ファティ・アキン監督・脚本によるサスペンス・ドラマ。
ドイツ警察戦後最大の失態と言われた極右グループNSU(国家社会主義地下組織)による連続殺人事件がヒントになっている。
主演は「ナショナル・トレジャー」、「イングロリアス・バスターズ」のダイアン・クルーガーが母国語で初挑戦し、カンヌの主演女優賞を受賞した。
ドラマは家族/カティアの失意と喪失感、正義/裁判シーン、海/ギリシャの海の三部構成。
ドイツ・ハンブルグ。トルコ移民のヌーリと結婚したカティア(D・クルーガー)は幸せな日々を送っていたが、白昼起こった爆発事故で突然夫と息子・ロッコを失ってしまう。
警察はトルコ人同士の抗争を疑っていたが、カティアの証言をもとにNSUによるテロと判断する。ここから法廷劇となるが、思わぬ判決に・・・。
カティアに扮したD・クルーガーによる渾身の演技が最大の見所だ。
幸せだった家族との想い出、移民との結婚による実家との確執、事件後の嘆きを、悲しみ・怒り・戸惑いなど様々な感情で演技する様子は本人になりきっての大熱演。
脇役陣では夫の友人でカイアを親身になって庇う弁護士ダニーロのデニス・モシット、容疑者の父で証人として出廷した容疑者の父役のウィリッヒ・トゥクール、厳つい顔で容疑者の弁護をして観客の反感を買うハーベックに扮したヨハネス・クリシュが印象に残った。
トルコ系移民の両親を持つF・アキン監督は、移民問題という社会的テーマを背景に主人公のパーソナルなドラマへと集約して、家族を理不尽に殺された一般人の自衛ムービーで観客に判断を委ねている。
サムライのタトゥをした主人公の行動は、法律では解決しない哀しみを癒す唯一の方法だったのだろうか?
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