ライトスタッフ
1983年/アメリカ
宇宙飛行士の黎明期は人間臭い男のドラマ
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 85点
演出 80点
ビジュアル 80点
音楽 85点
ドキュメンタリー作家トム・ウルフの原作「ザ・ライト・スタッフ」をフィリップ・カウフマンが監督し脚本も手掛けた長編。完全版は3時間33分だが監督と製作で編集が揉めオリジナル3時間15分に落ち着いた。日本ではそれでも長いと判断され2時間50分に短縮され公開されたいわく付きの作品である。迫力ある70mm画面に流れる音響で米アカデミー賞の作曲・音響効果・録音賞を受賞しているが、編集賞も受賞したのは前宣伝の効果もあってのことか?
NASAのマーキュリー計画で選ばれた宇宙飛行士夫妻と戦闘機パイロットの孤独な挑戦の物語。
エドワーズ空軍基地にはパンチョの店という酒場があり命知らずの戦闘機パイロットの溜まり場となっている。なかでもチャック・イエーガー(サム・シェパード)は音速の壁を破るために挑戦を続ける孤高な男。のちに宇宙飛行士となるゴードン・クーパー(デニス・クエイド)にとっても特別な存在である。
時代は’57ソ連のスプートニク打ち上げとともに宇宙開発時代に突入。アメリカの名誉を賭けて選ばれた7人の宇宙飛行士たち。人間モルモットとしての扱いを受けかけない舞台裏をトキにはコミカルに描いて行く。
最初の有人飛行をしたヒーローアラン・シェパード(スコット・グレン)はNYで盛大なパレードとケネディ大統領の叙勲があったのにガス・グリソム(フレッド・ウォード)は着水時カプセルのハッチが爆破したため寂しい叙勲。それでもメディアへの作り笑顔はとっても痛々しい。それぞれの妻たちの栄光と落胆ぶりが好対照だ。ジョン・グレン(エド・ハリス)のジョンソン副大統領への政治利用を断固たる拒否といい、夫婦で勝ち取ったヒーロー像が窺えて興味深い。
冗長な部分もあるが、宇宙飛行士と戦闘機パイロットの逸話を織り交ぜ、宇宙オタクや戦闘機マニアでなくても充分楽しめる人間ドラマに仕上がっている。
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