晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

「アメリカン・グラフティ」(73・米)80点

2020-04-20 12:01:19 | 外国映画 1960~79


・ 甘く切ない青春のワン・ナイトもので、ジョージ・ルーカスの出世作。

 「スター・ウォーズ」「インディ・ジョーンズ」シリーズでハリウッドを席巻したジョージ・ルーカスの出世作。デビュー作に失敗した彼の起死回生の2作目は、F・フォード・コッポラ製作によって実現した自身の青春時代を彷彿させるワン・ナイトもの。

 カリフォルニア北部の田舎町ペタルマ。高校を卒業して東部の大学に進学するカート(リチャード・ドレイファス)と違う大学進学に決まっているスティーヴ(ロニー・ハワード)が旅立つ夜、いつものメルズ・ドライヴインに集まった仲間四人のエピソードを追った青春ドラマ。キャッチ・フレーズは「1962年の夏、あなたはどこにいましたか?」

 「ロック・アラウンド・ザ・クロック」「悲しき街角」や「オンリー・ユー」などのオールディズが41曲も流れ、ジーンズやフレア・スカートに身を包んだ若者たちが憧れの車で街を練り歩く。

 同世代だった筆者には、大国アメリカの文化が憧れの国だった時代だ。今の若者には実感はないと思うが、友人が親の車で運転するのを羨ましく想い、<いつか自分も・・・>という願望の記憶がある。
 
 ジョン・ミルナー(ポール・ル・マット)が乗る黄色い31年型カスタム・フォードのデューク・クーペが一目置かれ、スティーヴの58年型シボレーを借りてはしゃぐテリー(チャールズ・マーティン・スミス)の気持ちが手に取るように分かる。

 ガール・ハントの必需品でもあった車だが、なかなか上手く行かない四人の青春は甘く切ないワン・ナイトでもあった。

 日本でもFENで聴くことができたDJウルフマン・ジャックが「新しい人生だ。予定通り出発だ」と励まし、金髪の謎の美女への想いを断ち切ったカート。
 アメリカが白人社会で形成され、ベトナム戦争という忌まわしい時代に突入する前の青春体験は「オール・サマー・ロング」が流れるエンディング・クレジットでその後の四人が明かされる。

 本作で大成功したルーカスは伝説のプロデューサーへの道を歩み出し、スティーヴを演じたR・ハワードは「アポロ13」「バック・ドラフト」などの監督となり、ドラッグ・レースに挑む脇役で出演したハリソン・フォードがスターへ上っていく切っ掛けとなったエポックメイキングな作品でもある。