晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
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「追跡者」(98・米)70点

2020-04-13 16:47:22 | (米国) 1980~99 


・T・L・ジョーンズの当たり役を楽しむ。

「逃亡者」(93)で、オスカー助演男優賞を受賞したトミー・リー・ジョーンズが扮したジェラード連邦保安官(補)とその部下たちが逃亡した殺人容疑者の元CIA特殊工作員を追うサスペンス。監督はスチュアート・ベアード、共演はウェズリー・スナイプス、ロバート・ダウニー・Jr。原題は「U.S.Marsyals」

新型コロナ拡大に伴い在宅を余儀なくされ、映画館通いも2か月半ほどご無沙汰している。こんなトキはスカッとするアクション・サスペンスが最適だと思い本作を鑑賞した。

「逃亡者」(93)はリアルタイムで観ている。本作は公開当時評判があまり芳しくないためスルーしたが、懐かしい想いも重なって充分楽しめた。
あれから5年後チキンの着ぐるみで登場したジェラード。サントリーの缶コーヒーBOSSの原型を見る再登板は真面目な捜査に笑いを誘う。
上司のキャサリン保安官(ケイト・ネリガン)やレンフロ(ジョー・パントリアーノ)など4人の部下たちもお馴染みの面々も再登場。
加えて囚人護送機での墜落事故などド派手な序盤は、つかみの巧さが光っていた。

逃亡者の元CIA工作員シェリダン(W・スナイプス)が身を守るため同僚二人の殺人を犯したことがまもなく判明するが、スピード感が溢れ131分の長さを感じさせず編集マンとして実績を重ねた監督の本領発揮によるものだ。

中国人スパイと情報を流した犯人捜査が絡んで外交保安局と連邦保安局との合同捜査という展開は説得力がなく、サスペンスの魅力が希薄になってしまった。これが脚本デビュー作のジョン・ポークの力量不足が要因か?

その分補うかのようにアクション満載で若いW・スナイプスと中盤登場したR・ダウニー・Jr(ロイス捜査官)の切れの良いアクションが際立っていたし49歳のTLジョーンズも大奮闘。
イケメン捜査官に扮したR・D・Jrは当時薬物依存症で苦しんでいたというから驚きだ。

紅一点シェリダンの恋人マリー役のイレーヌ・ジェコブが彩を添えるが、演技力を魅せる場面がなく気の毒。ハリウッドは彼女を活かせる場所ではなかったようだ。

ジェラード保安官とその部下の連邦捜査官の活躍を描いたシリーズ化を企画していた思惑は外れてしまったが、その後「ハンテッド」(03)、「ノー・カントリー」(07)など一連の作品でT・L・ジョーンズのはまり役となっていった功績は大きい。