晴れ、ときどき映画三昧

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「ある愛の詩」(70・米)65点

2017-09-28 14:47:34 | 外国映画 1960~79


 ・ 大都会の冬景色を舞台に、F・レイのメロディで繰り広げられる純愛ストーリー。


エリック・シーガルの小説をカナダのアーサー・ヒラーが監督。<愛とは決して後悔しないこと>というキャッチフレーズ、フランシス・レイのテーマ音楽とともに大ヒットした純愛ストーリー。原題もズバリ「Love Story」。

名家のオリバー・バレット4世(ライアン・オニール)とイタリア移民の娘・ジェニー(アリ・マッグロー)がボストンの大学図書館で出逢い、身上の差・宗教の違いによる父のバレット3世(レイ・ミランド)の反対を乗り越えて結ばれる。
父からの送金は中止され、学費・生活費のためジェニーは小学校の音楽教師として働き、貧しいながら幸せな生活を送る。
オリバーはロースクールを卒業し、法律事務所で働くため2人はNYへ移り新生活をスタートしたが・・・。

公開時、恥ずかしながら妻と有楽町で観た記憶があり、テーマ音楽のメロディに乗せたベタな恋愛映画だな~という印象しかなく、何故大ヒットしたのだろうという疑問が残った。

改めてみると、当時のアメリカ事情が思い起こされる。ベトナム戦争が泥沼化し、疲弊した若者達に「ロミオとジュリエット」のような純愛は心を和ませてくれる。

おまけに冬の雪景色を背景に繰り広げられるラブストーリーは、難病モノで涙を誘う定番で涙を誘う。雪の中を歩く2人を俯瞰で捉えた映像に、F・レイのメロディがオーバーラップするスタイルは、その後の純愛映画のお手本となっている。

連載小説を書いたエリック・シーガルはシナリオも担当したが、同時進行した映画のほうが先に完成し小説が後追いした経緯がある。まさにメディアミックスの先駆けで、80年代の角川映画は本作の手法を見習ったもの。

私生活で話題を賑わせた人気絶頂のR・オニールと、「ゲッタウェイ」(72)で共演したのがキッカケでステーィヴ・マックイーンと結婚したA・マッグローの共演は、本作が最初で最後となった。

また出番は少ないが、ジェニーの父を演じたジョン・マーレイの好演が印象深く、オリバーのルームメイトだったトミー・リー・ジョーンズのデビュー作品でもあった。

直訳すると<愛とは相手に謝る必要はない>を<愛とは決して後悔しないこと>と字幕化したセリフが2回登場する。
最初は中盤で、喧嘩した二人が仲直りするときオリバーの言葉を遮りジェニーが言い、2回目は終盤父親の言葉を遮りオリバーが言ったシーン。何れも決め台詞として効果的だ。

3度目に見ることはない作品だが、46年前を懐かしく思い出させる映画だった。