・C・イーストウッドからC・シーンへバトンタッチされた刑事アクション。
’88に終結した「ダーティ・ハリー」シリーズ。C・イーストウッドが「許されざる者」(92)で再ブレークする間に監督・主演したポリス・アクション。
LA警察・自動車盗難課のベテラン刑事・ニック(C・イーストウッド)は、高級車専門の窃盗グループに相棒を殺され、組織壊滅に没頭している。そんななかデイヴィッドという新人刑事が相棒として配属されてきた。
裕福な家庭で育ったデイヴィッドが、幼い弟を死に追いやったトラウマを抱えながら警官になって刑事らしく成長してゆく姿を描いている。
演じたのは「プラトーン」(84)で注目され「ヤング・ガン」(88)「メジャーリーグ」(89)と立て続けにヒット作に出演している、当時若手の有望株チャーリー・シーン。
60歳のC・イーストウッドは刑事アクションものの後継者としてC・シーンを選んだのだろう。刑事ものにはよくあるベテランと若手が組み、仕事を通じて成長を見守るというオン・ザ・ジョブの物語だ。
前半でのカーチェイス、後半の大爆発する工場・車の大ジャンプなど派手なシーン満載ながら今改めて見るとそれ程の驚きはない。
イースウッドらしいウィットに富んだ会話や、イントロとラストのモチーフが一緒という楽しさもあるが、強盗犯の情婦(ソニア・グラガ)に逆レイプされるシーンばかりが印象に残っている。彼の持つ毒の部分が裏目に出たようだ。
C・シーンのブチ切れたアクションは、後の彼の私生活にオーバラップしそうな過激なシーンのオンパレード。本作以降、「ホット・ショット」(91)「ザ・チェイス」(94)など映画主演はあったもののジリ貧傾向でイーストウッドの期待にも答えられず、本作もシリーズ化はならなかった。
しばらく音沙汰がなかったが、近年TV界で復活し<最も稼いでいる俳優>と言われているとか。まだ47歳、スキャンダルで賑わせるだけでなく映画で復活した姿を見せて欲しい俳優のひとりでもある。