・ 真の英雄とは、こういうヒトのことだ。
障害者アスリート財団・創始者のひとりボブ・バビットが、リサ・ラックスとナンシー・スターンに紹介したことがキッカケで映画化されたドキュメンタリー。アトランタ映画祭最優秀ドキュメンタリー賞などを受賞している。
ガーナのエマニュエル・オフィス・エボワは生まれながら右足がないハンデ・キャッパー。ガーナは人口の10%、200万人の障害者がいることに驚かされる。障害者は呪われているといわれ、ひっそりと家に籠って暮らすか物乞いをするしか道がなかった。エマニュエルは父に逃げられながら、母親の愛情に支えられ夢を叶えるために前向きに生きていく。支援者に自転車を贈ってもらい、ガーナ中を単独走破する。
これがアメリカに伝わり、受賞賞金をもとに自国に教育基金を設立し、子供達を健常者と同じ教育を受けさせる。やがて政府を動かして、障害者法が成立するに至る。
エマニュエルがアメリカで得たものは人々の善意。尊敬するジム・マクラーレンや自分と同じ境遇のトライアスロン競技者のルディ・ガルシア・トルソン。その象徴が彼にプレゼントされた義足である。その善意を自分だけにしないで、母国へ何倍にもして貢献する姿勢に胸を打たれる。死んだ母を心から愛し、捨てられた父を赦す心の広さを知ると<真の英雄とはこういうヒトだ>とつくづく思う。
黒人女性として唯一のパーソナリティを長年務めるオブラ・ウィンフリーがナレーターをしている。ロビン・ウィリアムスがトライアスロン表彰式で出ているが、本作のための別撮りではない。
ナイキがスポンサーのプロモーションフィルムでもおかしくないが、エマニュエル本人のキャラクターが長編映画として充分伝わってくる。