ビッグバンドのスター<グレン・ミラー>の伝記映画で主演はジェームズ・スチュアート、監督は彼の西部劇を何本も手掛けているアンソニー・マン。
J・スチュアートは本人が演じているのでは?と思うほど自然で貧乏なのにチットモめげない気さくな人柄のG・ミラーに成りきっていた。相手役の妻ヘレンにはジューン・アリソン。決して美人ではないがキュートで善きアメリカの献身的な妻を好演。野心を捨てようとするグレンを叱咤激励するが、あくまでも良妻賢母の枠からハミ出ない。
2人のエピソードとともに「ムーンライト・セレナーデ」「真珠の首飾り」「ペンシルバニア6-5000」など、ダンス・ミュージックとしてお馴染みの曲が数々流れて心地良い。なかでも「茶色の小瓶」には目頭が熱くなる。サッチモやジーン・クルーパが登場して<ベイズン・ストリート・ブルース>を演奏する若き日の場面はジャズ・ファンには嬉しいシーンだ。
中盤で軍隊入りする辺りで中だるみはあるものの、米映画ならではのストーリーは伝記映画としてなかなかなもの。