晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『ボー・ジェスト(1939)』 80点

2011-12-01 12:27:46 | 外国映画 1945以前 

ボー・ジェスト(1939)

1939年/アメリカ

ミステリアスなプロローグで最後まで惹きつける

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆85点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆80点

パーシヴァル・クリストファーレンの原作を映画化したサイレントの名作(’26)をウィリアム・ウェルマン製作・監督、ゲーリー・クーパー主演で再映画化した。
トゥレグ族の攻撃を守る仏軍のジンダヌフ砦に到着したボジョレー少佐率いる外人部隊。兵が銃を抱えたまま全滅しているのを知る。先に偵察に行ったラッパ手まで消えていた。兵のひとりが持っていたロンドン警視庁長官あての手紙を読むと「自分がブランドン卿の秘宝<青い水>を盗んだ」という内容。半信半疑で引き上げると炎が揚がり砦は全焼してしまう。このミステリアスなプロローグが興味を惹き、終盤まで楽しめる冒険ドラマだ。
ブランドン卿は放蕩のあまり家に寄り付かず、夫人は女手ひとつ、孤児で養子のジェスト3兄弟、甥や姪を育てている。とうとう秘宝の<青い水>を売って生活の糧にするハメになり、家には模造品を置いていた。15年後子供たちは立派に成長するが卿から手紙が来て<青い水>を処分するという内容が書いてあって夫人は困惑する。その夜、停電があって秘宝は無くなっていて、ボー(G・クーパー)ディグビー(ロバート・プレストン)ジョン(レイ・ミランド)の3兄弟は次々と自分が盗んだと置き手紙を残し外人部隊へ志願して行く。
ここからは<青い水>を巡ってのマーコフ軍曹(ブライアン・ドレンヴィ)の悪役振りが際立ち、主役が霞むほど縦横無尽の大活躍。のちに3度目の映画化でテリー・サラバスの軍曹だけが目立ったのも納得。
最後で謎解きがあって、なるほどと思わせる展開は脚本の出来が良いのだろう。3兄弟が遊んでいたバイキングの密葬も伏線として生きていた。兄弟の硬い絆や正義のためには自分を犠牲にしてまで行動する男への賛歌はこの時代にはうってつけのテーマ。
長男のボーを演じたG・クーパー、3男ジョンを演じたレイ・ミランドの2枚目振りとイソベルを演じたスーザン・ヘイワードの美女振りが如何にもハリウッド作品らしいが無国籍風映画はならずにすんでいる。砂漠での戦闘シーンなど随所に見応え充分なシーンとともに結末まで楽しむことができた。