ハモンハモン
1992年/スペイン
6人の愛憎入り乱れる悲喜劇
shinakamさん
男性
総合 75点
ストーリー 70点
キャスト 85点
演出 75点
ビジュアル 75点
音楽 75点
いまスペインのトップ女優であるペネロペ・クルスのデビュー作で、昨年結婚したハビエル・バルデムとの初共演作品。監督は愛憎関係を濃厚に描きながら乾いたスペインの風土を映像化して独特の世界をつくるビガス・ルナ。
スペインの田舎にある大手下着メーカーに勤める娘シルビア(P・クルス)と御曹司ホセ・ルイス(ジョルディ・モリャ)は結婚を約束するが、マザコンのホセは母コンチータ(ステファリ・サンドレッリ)に反対され、煮え切らない。母は闘牛士を目指す若者ラウル(J・バルデム)を使って2人の仲を裂こうとするが...。
女手ひとつでシルビアを育てた母カルメン(アンナ・ガリエナ)、ホセの父マヌエル(ファン・ディエゴ)を含め、入り乱れる6人の愛憎関係は想像をはるかに超え、暴走気味で共感できる人物は皆無。開放的なラテン気質丸出しの性描写は隠微さは微塵もなく、エンディングの悲喜劇へ突入して行く。
10代だったP・クルスのしなやかで肉感的な魅力とJ・バルデムの肉食系男子ぶりが堪能できる貴重な作品となった。日本とは違う親子の緊密な関係が伺え、トルティーヤ・ハム・にんにく・赤ワインがドラマを盛り上げていたのは、いかにもスペイン映画らしい。