100歳の少年と12通の手紙
2008年/フランス
ファンタジックで洗練された台詞で後味が良い
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 85点
演出 80点
ビジュアル 80点
音楽 80点
「地上5センチの恋心」のエリック=エマニュアル・シュミットが自分の戯曲を映画化。10歳の少年が白血病で余命幾ばくもないストーリーと聞けばお涙頂戴の悲しいドラマと想像して観賞を躊躇していたが、思ったより深刻さはなく説教くさくもない。
その要因は口の悪いピザやのローズに扮したミシェル・ラロックと少年オスカーに扮したアミールの持つポジティブな雰囲気。いたずら好きな少年アミールはズケズケとモノを言うローズに耐えがたいことに直面したらどうするべきかを身を持って教えてもらう。人生に臆病だったローズは、オスカーから<長くはない命を助ける強さ>を見つけ出して行くうち、自分自身の発見にもなってゆく。
全体のトーンが暗くなりそうなところを上手くバランスを取っていったのが、自称元プロレスラーのローズの自慢話。スラプスティックなシーンが入るたびにオスカーともども観客も過酷な現実を忘れさせてくれる。
ファンタジックで洗練された台詞が巨匠ミシェル・ルグランの音楽に乗ってトテモ後味の良い作品に仕上がっている。共演しているローズの母ミレーヌ・ドモンジョ、医師のマックス・フォン・シドー、婦長のアミラ・カサールのベテランや、難病を抱えながら病院暮らしを子供らしく生きている子役たちが、精一杯生きたオスカーとローズの10日間を支えている。