晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
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『バード(1988)』 80点

2010-11-08 14:23:23 | (米国) 1980~99 

バード(1988)

1988年/アメリカ

ビパップの創始者に入れ込んだC・イーストウッド

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆90点

「アメリカ文化はジャズとウエスタンしかない」という自論のクリント・イーストウッドが映画化をしようと製作・監督するまで6年間かかったというビパップの創始者チャーリー・パーカーの伝記映画。イーストウッドがゴールデングローブ監督賞、F・ウィテカーがカンヌ映画祭の主演男優賞を受賞している。ドラッグと酒に溺れたジャズマンの物語だけにしたくないというイーストウッドの想いが画面から滲み出ている。
主演はチャーリー・バード・パーカーにフォレスト・ウィテカー、その妻チャンにダイアン・ヴェノーラ。ヘロイン中毒死した父、コンテストでシンバルを投げつけられた少年時代のトラウマを引きずりながら、ビバップの殉教者として孤高の世界を歩むバード。その繊細な神経を理解して守り続けた妻との人間ドラマに仕上がっている。ディジー・ガレスピーとの友情や、当時の人種差別や音楽評価が地域により差があることなど、2時間40分という長さは逸話をフンダンに入れ込んで、編集でのカットが忍びなかったのだろう。それだけ思い入れのある作品だが、ジャズファン以外には間延びして見えてしまう。
画面が暗く目を凝らさないと良く見えない映像もつらいが、音源をパーカー自身の演奏を取り出しレイ・ブラウン、ロンカーターなど錚々たるメンバーが演奏したものを被せている音楽は感動もの。監督業に専念したC・イーストウッドのこだわりがここにも見える。