晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『フロム・ヘル』 75点

2010-08-08 15:38:44 | (米国) 2000~09 

フロム・ヘル

2001年/アメリカ

ヴィクトリア末期の時代背景を満喫できる

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆75点

ビジュアル ★★★★☆75点

音楽 ★★★★☆75点

切り裂きジャック事件として歴史に残る娼婦連続殺人をアランムーア・作、アレンヒューズ・画でノベル化した原作をもとに、アルバートとアレン兄弟が監督。事件とは、5人の娼婦が殺され新聞で連日報道されたが迷宮入りしている実在の事件。
主演はジョニー・デップで、妻子を亡くした悲しみをアヘンで紛らわしながら予知能力と冷静な洞察力をもつ警部に扮している。時代はヴィクトリア末期の英国、繁栄を極めながら貧富の差が広がり社会的矛盾もあった頃で、映像から時代背景が滲み出ていた。
上流社会の秘密結社・フリー・メイソンにはアーサー・コナン・ドイルやエレファント・マン(ジョン・メリック)が登場し、近代科学技術と魔術が同居した社会であったことを教えてくれる。かたや「テン・ベルズ」バーは娼婦たちの溜まり場があり、ロンドン病院・簡易宿泊所・救貧院など貧しさの描写にはこと欠かない場所が沢山出てくる。
事件は誰が何のためにやったのかが最大の山場だが意外にあっさりと分かってしまう。ミステリー好きには物足りない。それよりこれが事実だったら英国王室最大のスキャンダル。
J・デップは憂いを秘めた眼差しで、娼婦メアリー(ヘザー・グラハム)とのラヴ・ロマンスも披露して女性ファンを魅了している。警部の部下ピーター巡査部長にロビー・コルトレーンが扮し、大きな体型と独特の風貌でいい味を出していた。