あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

瀬戸内シーカヤック日記: 御手洗&岡村島、初夏のキャンプツーリング(2)

2008年06月15日 | 旅するシーカヤック
無料貸し自転車をお借りして、初めての自転車による岡村島一周を終え、JAのスーパーでビールを買って浜に戻ってきた。

初夏の日差しはギラギラと照りつけ、白い砂による照り返しもあって、浜はかなり暑い。
ようし、お気に入りの書斎へ行くか!
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本とペットボトルのお茶、そしてiPodを持って、お気に入りの書斎へと向かう。
急な坂を登りながらiPodから聴こえてくるのは、『Best Jazz 100』の一曲、『Besame Mucho』

↑ ここが、岡村島での私の書斎。
茂った木々で夏の日差しが遮られ、小高い丘の上にあるので涼しい海風が吹き抜ける。
また、板の床がひんやりと心地良いので、夏の暑い日中に、板の上に寝転がって本を開くのは至福の一時なのだ。
手を合わせてお堂に頭を下げ、ひととき場所をお借りする断りを入れる。

寝転がって目に入ってくるのは、こんな眺め。 これほど快適な書斎を、私は知らない。

瑞々しい新緑が目に優しい。 今日の本は、これまた本棚から引っ張り出してきた『ジャッカルの日』
この本を開くのは数年ぶりだが、その面白さに時を忘れてページをめくる。
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さあて、そろそろ浜に戻って夕食の準備をするか。

日がだいぶ傾いてきた。
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テーブルにちょうど良い流木をセットし、トランギアのストームクッカーをセットする。
ピンク色のKittyちゃんのケースは、以前ダイドックのツーリングでご一緒させていただいた方々から、プレゼントとしていただいたもの。 その時のメンバーの方々は、私がいつも手にしている黄色いペリケースがかなり印象的だったようで、じゃあということで、これを選んでいただいたとの事。
これが、キャンプツーリングの調味料入れにぴったりで、愛用させていただいている。
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オピネルでピーマンを切り、タマネギを刻み、魚肉ソーセージを小さくして準備完了。
ストームクッカーのフライパンにオリーブオイルを垂らし、クレージーソルトで味付け。 そこにソフト麺を加え、軽く炒めたら、粉末ソースを絡め、簡単ナポリタンの完成。
次は、残しておいたタマネギとピーマンを再び炒め、卵を二つ割り入れて、オムレツをつくる。

ふわふわでなめらか、具沢山のオムレツ。 これに、オタフクお好みソースを掛けていただく。
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夕焼けを眺めながらスパゲティを食べ、ビールを飲み、オムレツをつつく。

すると上から、『おにいちゃん。 あの舟で来たんね?』 振り返ると、一人のおばあちゃん。
『こんにちは。 そうなんですよ』 すると、おばあちゃんは階段を降りて来られた。
『ようあんな小さい舟で。 よう、ひっくりかえらんもんよ』 そして、テントや調理器具などを見回しながら、『これ、全部あのフネで持ってきたん?』 『ええ、あのフネは結構荷物が積めるんですよ』

食事はいったん休みにして、おばあちゃんの近くに腰掛け、缶ビールをすすりながらしばしの四方山話。
11月に豊浜大橋が掛かるので、戸締まりや鍵掛けをしないといけなくなること。 『わたしら、鍵なんか掛けたことがないけん』
お昼ご飯を食べた御手洗の食堂のことや、そこの中華そばのこと。 町村合併で今治市になったことによる変化。 島に仕事が少なく、若い人が出て行って年寄りばかりになり、人も減っていること。 船便も昔に比べて減って不便になったことなどなど。 こんなとき、宮本常一ならどんな事を考え、アドバイスし、自分で動き、支援するだろうか?

毎日この浜まで散歩に来て、夕日と観音様を拝んで帰るというおばあちゃん。 『じゃあ、そろそろ帰るわ。 気をつけてね』
『はい、ありがとうございます』
***
翌朝、いつもよりゆっくりと起き出し、海を眺めながらストームクッカーでお湯を沸かし、チャイを入れる。
まだ太陽は山の陰になっており、ひんやりとした空気が心地良い朝の一時。
玉子うどんの朝食を食べ、再びチャイを入れる。
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荷物を片付け、パッキングして出発。

昨日の夕方強くなっていた西の風は静まり、海は穏やか。 片道約14kmの距離を、横断隊ペースをイメージしつつ漕ぐ。 県民の浜まで、約1時間45分で到着。
体格に恵まれていない私が、一部の行程ではあるが横断隊に参加させていただき、遅れないようについていくには、普段から漕ぎ続けるのみである。

県民の浜に近付くと、右手に見えてくるのは『豊島大橋』
今年11月に開通予定のこの橋が、豊島、大崎下島、岡村島に、どんな影響を与えるのであろうか?
北前船が、地乗り航路から沖乗り航路に変わった事で、栄えていた湊がさびれ、新たに栄える湊ができた。 そしてその後、運輸の主流が船から陸上交通に変わった事によって、瀬戸内の島々は更に大きな影響を受けた。 瀬戸内の島々は、それらを取り巻く状況によって、時代背景に応じて、常に変化しているのである。
旅するシーカヤック。 これからも瀬戸内の島々を訪れ、あるくみるきくのスタイルで島の今を知り、記録し、定点観測を続けていきたいと思う。
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