あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

瀬戸内シーカヤック日記: 今年で4年目_夏のシーカヤック教室スタート with YB125SP

2013年07月13日 | 旅するシーカヤック
2013年7月14日(土) 今日は、今年で4年目となる地元の島でのシーカヤック教室の初日。

先週、自分のシーカヤックは施設に置かせていただき、打ち合わせとカヤックのチェック&コード類の交換は済ませてあるので、今日はYB125SPにPFDを積んで島へと向かう。

安芸灘大橋は、クルマだと片道700円、往復で1400円かかるのだが、これが125ccの原付二種だと、なんと片道50円。
250ccのバイクでも、軽自動車と同じ550円かかるのだから、とびしま海道やしまなみ海道あたり、いわゆる芸予諸島で遊んでいる俺にとって、原付二種が如何に便利かが分かっていただけるであろう。

景色の良い海沿いの、適度なワインディングロードのツーリングを楽しみながら、施設へ到着。

先生方に挨拶し、今年のツーリングプランや日程案を提示して、『じゃあ、そろそろ準備して始めましょうか』

***

先生達や、サポートしていただける地元のシーカヤッカーYさん達と手分けして、シーカヤックや道具を運ぶ。

今日は、シーカヤック部担当の先生方3名とYさん、そして4年生2人、6年生2人。

最初に挨拶をし、私からは、『今年も一緒に海を楽しもう。 そして安全第一でね』

準備運動。

PFDのサイズ合わせとバックル類のチェック。 4年生の小さい子供達には、股の部分にストラップが通せるタイプを選ぶ。
『これがあるとね、海に入ってもライフジャケットが外れないから安全だよ』

次は、船割りとパドル選び。 これが意外と大変で、しかも重要なのである。

子供達は一人一人、体力も、カヤックの経験も、メンタルの強さも異なる。 シングル艇では心配になり充分楽しめないので、気の合う先生とタンデムにし方が良い子もいるし、自立心や冒険心が強く、何が何でもシングル艇に乗りたいという子も居る。

重量や、フェザー/アンフェザーの違いは分からず、見た目でパドルを選ぶ子も多い。

そんな一人一人の潜在的な要望を短時間で見抜き、体力的&心理的に子供達に負担にならず、しかもシーカヤック教室の時間を楽しめ、なによりシーカヤック教室チームとして安全が確保できるように船割りとパドル割当を決めていくのは俺の腕の見せ所。

***

それが決まると、『じゃあ、これからフネを降ろします。 毎年言うけど、海の上よりこのカヤックや道具の運搬の時が一番危ないんだ。 主に先生達と私たちで運ぶけど、みんなも足を滑らせて怪我をしないようにね』

準備が完了すると、次は出艇する順番を決めるのである。 これがまた重要なのだ。
『じゃあ、○○先生と○○ちゃんで最初に出て下さい。 あまり遠くに行かずに、順番にみんなを出しますから、しっかり見ておいて下さいね』

海に入って子供達が乗り込むのをサポートし、それから一艇一艇押し出し、自分は最後に出艇。

『ようし、じゃあ始めようか!』


ベテランのYさんにサポートしていただきながら、俺は安全確保のために重要なしんがりを勤め、慣れずに遅れる新米の先生や、初めて漕ぐ子達をサポート。
Yさんにサポートしていただけるおかげで、俺の最も大事な任務であるシーカヤック教室の安全確保に集中できるのは、本当にありがたいことである。


『じゃあ、今日はシーカヤック教室の初日だから、まずは漕ぐのに慣れてみよう。 そこから大きく時計回りに回ってみるよ。 みんな、Yさんの後に付いて行って』

『うん、みんな上手いねえ。 じゃあ今度は反対周り』

『ようし、じゃあこっちに並ぼうか。 今度は向こうまで、全力で漕いでみよう!』 みんな、嬉しそうに一生懸命漕ぎ進む。

『いやあ、ええなあ。 楽しい!』

***

以前、別の所でシーカヤックを漕いだことがあるという6年生の男の子は、パドリングも慣れたもの。 ターンも、全力漕ぎも、ブレーキも、もうその後ろ姿はシーカヤッカーである。

6年生の女の子に、『どう、シーカヤック?』 『はい、楽しいです。 なんだか海を漕いでいると落ち着きますね』との事。
多感な時期の女の子。 想像するだに様々な事があるのだろうけれど、僅かなこの一時を楽しんでリラックスしてくれるのなら、これ以上の喜びはない。

港の奥まで漕ぎ進み、一休み。
『ねえ、ちょっとこっちのカヌーを試してみて』 アクアテラのスペクトラムを漕いでいた6年生の女の子に声を掛けてみる。

乗り換えて海に押し出し、『漕いでみて、どっちが良いか言ってみて』 すると、『あ、こっちって軽いですね』
『そうやろ。 さっき漕いでるのを見て、フネが重たいんじゃないかと思ったんよ。 じゃあ、帰りはそっちを漕いでもらおうか』

そう、一人一人の漕ぎ方や表情、声をかけた時の反応などなどを勘案し、全てを最適に、みんなをできるだけ幸せに、そして教室チームとして安全にできるよう、そのときそのときで最適なシチュエーションに組み替えて行くのが私の唯一最大役目であり、責務なのである。

***

スタートから1時間半。 無事に、シーカヤック教室は終了。

手分けして荷物とシーカヤックを運び揚げ、子供達は先に風呂に行かせて道具の運搬と潮抜き。

『お疲れさまでした!』

いやあ、本当に楽しかったなあ!
子供達のあの楽しそうな表情、上手く漕げる事で自分に自信を感じているあの表情を見ているだけで、俺はいっぱい元気をもらう事ができる。

仕事の面では、俺のスペシャリティー/強みが何であるかはよく分かっており、給料をもらう自分自身の存在意義/レーゾンデートルも自覚しているが、子育ても終えた今、仕事抜きでの”素の人間”としての俺の存在意義を感じる瞬間というのはそんなに多くない。

まだ橋が架橋していない時に、この島に家船の調査で訪れた時、偶然出会った方の仲介で始めた夏のシーカヤック教室。
中古ながら、アクアテラのスペクトラムと、タンデムのキウイ2、家族で使っていたいくつかのパドルと子供用を含むPFDを寄付し、4年間試行錯誤しながら積上げてきた夏のシーカヤック教室。

ここでは俺がリーダーとして、シーカヤック教室やツーリングの運営方針、そしてなにより大事な安全確保に責任を持って運営することができることが最大の強み。

家では様々な面でダメダメな俺ではあるが、この夏のシーカヤック教室で、安全を確保しながら子供達が嬉しそうな表情を見せてくれる事、そして島へのツーリングを達成した時の充実した、そして楽しそうな子供達の表情/笑顔が、俺がシーカヤッカーとして次世代に伝えて行けるものの一つだと信じている。

これまで一緒に漕いできた子供達の中でほんの一人でも、『あの夏、無人島にシーカヤックで渡ってカレーを作って食べたのは良い想い出だなあ』とか、『昔、瀬戸内でシーカヤックを漕いだことがある。 私、シーカヤック得意だよ』と自慢するとか、『そう言えば昔、色黒で坊主頭の怪しい人にシーカヤックを教えてもらった事があった。 あれで海が好きになったのよね』、なんて言ってくれる事が万が一にでもあれば、もう何も言うことは無い。

これまで様々な事にチャレンジし、僅かな達成感と多くの挫折/脱落を経験してきたが、このシーカヤック教室だけはなんとしても続けて行きたい。
いや、続けて行くのだ。

***

天候次第のシーカヤック教室なので、今年も何度実施できるか分からないが、それでも俺はこのシーカヤック教室を楽しみにしているのである。

さあ、今日も無事に終わったし、子供達も楽しんでくれたようだ。 次回は2週間後になるが、楽しみだ!!!
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